『初めての野外公演で』

社会学部(演劇コース) 荒川真由さん
期間:7月~11月
場所:栗林公園 商工奨励館
活動内容:瀬戸内国際芸術祭2016 指輪ホテル「讃岐の晩餐会」出演

●参加しようと思ったきっかけは何ですか。
――この大学に入って、1年生の後期のSARPに関わらせてもらって、そこでプロの方たちとお芝居を作るのが面白い、楽しい、ということに気がつきました。それから色んなお芝居を見たいし、出たいという欲がすごく出てきて、4月の終わりごろに指輪ホテルの羊屋さんと瀬戸芸の担当者の方が大学で説明会をするっていうのを聞いて、もし参加できるなら参加したいから行ってみようと思いました。実際どんな作品を作ろうと思っているのかとかを説明会で聞いて、行きたいなと思ったのがきっかけです。説明会では、過去の瀬戸芸に参加した時の作品のダイジェストとか違うところでやった作品の映像を見せてくれました。指輪ホテルの作品って、すごく独特のファンタジー感といいますか、人がそんなに出てこない作品が多い印象が私の中にありました。それに、野外での公演が多いということもあって、野外公演をしたことがなかったのでやってみたいなと思ったこともきっかけです。

●「讃岐の晩餐会」はどういう作品ですか。
――昔は神社とかでのお祭りの時に練り歩く行列みたいなものがあって、日が暮れてからそのままお食事に、という流れがあったらしいんです。それを「讃岐の晩餐会」でもやりたいということで、パフォーマンスの後にはお食事のコースが設定されていました。お食事につながるようなパフォーマンスであるものの、パフォーマンスはパフォーマンスで完結して、指輪ホテルらしいファンタジー感もある作品です。登場人物が旅人以外みんな人ではないんです。ストーリーは、人間に化けたとある一族たちが行列をつくっていて、当主のお父さんが山からのお告げでお母さんが新しい山の神様になることを聞いて、お母さんが山へ行くことになるところから始まります
私は、お母さんの娘役で出演しました。娘は春夏秋冬のお花四姉妹といわれていて、私は三女で秋の役をしました。演じる時は、他のお花役の人たちが引っ張っていってくれるので、それについていく感じでした。お花たちが島を産むシーンがあったんですけど、私はお花チームの最年少で、他の方たちは出産を経験している年代の方なのですごくリアリティがあって、見ていてすごいなと思いました。
指輪ホテル「讃岐の晩餐会」
●初めての野外公演ということですが、やってみてどうでしたか。
――自分で変わったなと思ったのは、声が大きくなりました。指輪ホテルに関わる前に出た稽古で、すごく声が小さいと怒られたことがありました。でもなかなか発生練習をする時間もなくて声が大きくなることはなかったんですけど、「讃岐の晩餐会」に出て、野外公演だから風によって声も流されてしまうし、雨が降ったら絶対声が響かないので、だんだん声が大きくなっていって、夏会期が終わる頃には自分でも大きくなったなと分かるくらいになりました。声が小さいとよく怒られていたので、声が大きくなったことは自信につながりました。
天気とか風の流れとかで演出上の仕掛けが見えたり見えなかったりするのは、野外公演の面白さだと思います。雨が降っても傘をさす訳にはいかないので、滅多にないびしょ濡れになるという経験をしました。やる前はびしょ濡れになるし大丈夫かなと思ってたんですけど、わりと楽しかったです。雨バージョンと普通のバージョンだと色々変更点があるので、違うところに新鮮さがあって面白かったです。
今回の「讃岐の晩餐会」は、演じる場所が商工奨励館から隣の芝生広場、中庭、と言う風に変わっていくので、お客さんも一緒に回って、最終的に商工奨励館へお食事に送り出すという流れになっています。その移動の時に生演奏が流れるんですけど、演奏の形態や演奏する場所などが普通のバージョンと雨の日では全然違うので、違うところから音が流れてくるのが面白かったです。

●演劇コースで学んでいることがどう活かされていると思いますか。
――今までノトスの公演では美術とか当日制作とかしかやってなかったんですけど、美術でやっていたこと、授業で教わる音響や照明のことを指輪ホテルの方でも役立てたと思います。指輪ホテルの音響の手伝いとか仕込みをやっていて、「舞台技術基礎」での音響の授業は活かされているな、と思います。ケーブルの引き方とかもそうですけど、授業でやったことを踏まえて指輪ホテルで新しく学ぶことが多くありました。

●今回、指輪ホテルの作品に関わって、よかったことは何ですか。
――今回、瀬戸内国際芸術祭には初めて参加しました。プロの方と役者としてご一緒できる機会はなかなかないので、それもよかったと思うんですけど、何よりも香川で頑張る演劇が好きな人たちと知り合えたのがすごく大きいです。公演中、飲み会などもあったので、「讃岐の晩餐会」に参加されている方と、距離は近くなったと思います。ノトスの方は基本的に年代が同じなのですごく居て楽しいんですけど、今回のような劇団になると色んな年代の人が集まっているので同じ話を聞いても人によって理解の仕方が違うこともあって、ノトスにいるだけでは聞けない話を色々聞けたので、面白かったです。

●新しい発見や学びはありましたか。
――「讃岐の晩餐会」に関しては、本当に何もないところからの参加だったので、最初の稽古はワークショップみたいなものでした。こういうのをやりたいっていうのを渡されて、それを元に何人かでチームを作って自分たちなりにやってみて、そうして試行錯誤しながら作っていったものが演出家さんの頭の中で指輪テイストになって出てきたっていうのがすごく面白かったです。
初めての野外公演で、自分が暑さに弱い体質だということが分かったので、ちゃんと自分の体調と向き合えるようになったのと、役者だけじゃなくてスタッフワークができることも大事なんだなと思いました。指輪ホテルの演出家さんに「役者だけじゃなくてスタッフもできた方がいいよ」と言われて、それはどこに行ってもそうだと思いました。実際役者をやった時にどう動けばいいのかも分かるだろうし、スタッフワークがそれなりにできるようにしないといけないなと思いました。
指輪ホテルをやっている夏休みに「ライブ・パフォーマンスの世界」の授業を取ってみて、台本を実際にやってみて演出の人から「こういう風にしたらどう?」言われたことを昇華するのに私は時間がかかる、ということに気付いて、それをどうやったら解消できるのか、ということをプロの方に教えてもらいました。自分が理解しきれていないところに対して「ここはこうして」と抽象的な表現で言われた時、役者が考え込んでしまう訳にはいかないので、それに対応するためには自分の中にいくつかの引き出しを用意しておかなければいけないよ、というアドバイスをもらいました。野外公演なので、稽古通りにいかないこともあるので、そこはわりと臨機応変に対応する力はついたんじゃないかと思います。

●これからの将来にどう活かしていきたいですか。
――人じゃないものを演じる機会はなかなかないので、そういうところで表現力は多少ついたのかなと思います。それをこれからの舞台にどうやったらうまく活かせられるのかとかはまだ頭の中にないので、今後模索していけたらと思います。

●公演への出演を考えている後輩へのアドバイスやメッセージがあればお願いします。荒川真由さん
――私がこの大学に来たのは、色んなプロの方に関われるっていうのが大きくて、無理矢理東京とかに出て行って活動しててもワークショップをしていない先生とかもいるので、ここは比較的コネを作りやすいと思います。
だから、積極的に参加した方がいいと思います。

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瀬戸内国際芸術祭2016「讃岐の晩餐会」
特別名勝栗林公園で、指輪ホテルによるパフォーマンス鑑賞と、県産食材を使った食事を楽しむ、芸術祭の旅の締めくくりにふさわしい贅沢なツアーイベント。

物語は、讃岐の晩餐会を探す旅人が人に化けたとある一族の行列と出会うことから始まる。一族の当主は、山からのお告げで自分の妻が次の山の神になることを知り、ついていけない自分たちの代わりに旅人に山へついて行ってほしいと言う。そして、旅人は日本中、世界中を旅する。

指輪ホテル
指輪ホテルは、羊屋白玉が、劇作と演出、ときどき俳優をつとめる「作品の連続体」である。