大学における文化芸術推進事業

地域の課題に向き合う社会包摂型劇場を創り、
運営していくためのアートマネジメント人材育成プログラム
大学と連携する丸亀市の新市民会館「(仮称)みんなの劇場」開館準備プロジェクト
共催:丸亀市産業文化部文化課

2019(令和元)年度 大学における文化芸術推進事業
2020(令和2)年度 大学における文化芸術推進事業
2021(令和3)年度 大学における文化芸術推進事業

◎本事業について
丸亀市は新しく整備する市民会館を「丸亀市の様々な課題を解決に導く社会機関」として位置付けし、準備を進めています。この基本理念は国内において非常に画期的で、将来の公共ホールの手本となるべきものだと思います。その理念に共感し、よりよい劇場が生まれ、運営されるためのお手伝いを四国学院大学はしたいと考えています。本学は本格的な演劇コースとスタジオを有し、アーティストインレジデンス、プロの劇団招聘、国際共同企画、児童劇、ワークショップなど様々な取り組みを精力的に行ってきました。ここで培われたノウハウを活かした人材育成プログラムを新たに開発し、開館後、劇場や地域で活躍できるプロデューサーやファシリテーター、アーティストを育成したいと考えています。加えて、劇場がどれくらい社会に還元できるか、きちんとデータ化し、芸術文化が地域課題を解決できることを実証したいと思います。ぜひ、市民の皆様にも劇場や本プロジェクトに興味を持っていただき、開館に向けて様々な形でご参加いただければ幸いです。

四国学院大学 准教授・ノトススタジオ芸術監督 西村 和宏

丸亀市民会館「(仮称)みんなの劇場」建設に向けた丸亀市の取り組み
丸亀市は、新しい市民会館「(仮称)みんなの劇場」の開館に向け、市民へのアンケート調査の実施、市内文化協会へのヒアリングや、車座集会での市民との意見交換などの場を設け、積極的に市民の意見を汲み取ってきました。そしてそれらを基に基本構想を策定し、3つの理念を掲げています。

この3 つの理念を体現すべく、社会的インパクト評価を取り入れた運営(事業の成果を評価しながら事業運営をしていく)方針を打ち立て、「みんなの劇場」で実施した事業の評価ではなく、その事業を行うことにより得られた社会的な成果を見える化し、より適切な運営に導いていくことを目的としています。

本学アートマネジメント人材育成プログラムの概要

このような丸亀市の取り組みを受け、開館に向けての必要な事案に対して、将来の丸亀市さらには香川県の舞台芸術活動を担える人材の発掘・育成や現職のホール職員・市職員のスキルアップを図ろうと、2019 年度から本学職員と丸亀市文化課職員が、共同でアートマネジメント人材育成プログラムを実施し始めました。
本プログラムは、地域の課題を見つけ解決を探る「課題リサーチ・プロジェクト」、市民のアートへの理解を深めるとともにアートを介したつながりや気付きを生み、自己承認欲求を満たすきっかけとなる「アウトリーチ・プロジェクト」、舞台芸術を観る人・やる人(実演家)を育てる「シアター・プロジェクト」、公演やワークショップの社会的価値を可視化し、説明責任を果たせる能力を育成する「評価・プロジェクト」の4 つのプロジェクトで構成されています。

◎専任教員紹介

西村和宏| Kazuhiro Nishimura
四国学院大学准教授、演出家、サラダボール主宰、青年団演出部、ノトススタジオ芸術監督
1973 年生、兵庫県出身。1999 年より、川村毅氏が主宰する劇団第三エロチカに俳優として活動。2002 年にサラダボールを立ち上げ、以降すべての 演出を手掛ける。2005 年より平田オリザ氏が主宰する劇団青年団の演出部に所属。2011 年より四国学院大学に勤務。これを機に創作の拠点を香川県に移す。瀬戸内国際芸術祭参加や、小豆島の島民と「二十四の瞳」を創作するなど市民劇の上演や高校生・市民向けの演劇ワークショップを多数行っている。
阪本麻郁| Maya Sakamoto
四国学院大学准教授、ダンス教育者、振付家
キエフ国立バレエ学校に国費留学。京都ダンスアカデミー(KDA)、ニューヨーク等でコンテンポラリー・ダンスを学んだ後、KDA の講師通訳およびアシスタントを勤める。ドイツのケルン音楽大学ダンス科にてダンス教育を学んだ後、ドイツに在住しボッフム州立劇場で村上春樹原作『アフターダー ク』等に出演すると共に、タンツハウスnrw が主催する青少年ダンスアンサンブルJET に作品制作や、NRW 州教育プロジェクト「文化と学校」でワークショップを実施。帰国後は四国学院大学で教鞭を執ると共に、美術館や小学校でのワークショップも多数行なっている。
仙石桂子| Keiko Sengoku
四国学院大学准教授、 即興演劇シーソーズ・劇団オムツかぶれ主宰
1981 年生まれ。2006 年より一橋大学 学生相談室職員、2010 年よりタイのシラチャ日本人学校国語科専任教諭を経て、2012 年より現職。専門は演 劇教育、インプロ(即興演劇)。一橋大学勤務時には、学生に向けてコミュニケーションスキルアップセミナーを 行うかたわら、国立市まちかどホール、練馬区関中学校、千葉市社会福祉研修センター、志仁会などでインプロを使ったワークショップを実施。シラチャ日本人学校では、国語科の授業の中にインプロを取り入れた授業を実践した。著書に『ドラマ教育入門』(図書文化社、共著)