『将来のための人生経験を』(キャンパスベンチャーグランプリ参加)
社会福祉学部 精神保健と福祉メジャー 平尾隆人さん
丸亀高校出身。
学生が新たな事業を提案するビジネスコンテスト、キャンパスベンチャーグランプリ。
”学生起業家の登竜門”ともいわれているキャンパスベンチャーグランプリは、全国8地域(北海道、東北、東京、中部、大阪、中国、四国、九州)で展開しています。
第19回キャンパスベンチャーグランプリ四国大会に参加し、『介護業界の発展 ~廃棄衣料から新たな価値を~』で特別賞四国産業人クラブ賞を受賞した平尾さんに、応募の経緯や大会の感想についてお話を聞いてみました。
キャンパスベンチャーグランプリ四国大会に応募しようと思ったきっかけは何ですか?
―いとこが数年参加していたのを見ていて、自分も応募してみようと思いました。大学に入って福祉関係のことを学びたいと思っていたので、もし起業するなら福祉関係に携われるものや福祉方面で力になれることがしたいと思って、なんとか形にしようとアイデアをたくさん考えました。
福祉といえば、精神福祉と社会福祉と介護の大きく3つの分野があると思うんですけど、応募した当時は1年生なので精神福祉や社会福祉などの現場を見る機会はありませんでした。アイデアを形にするためにも実際に働いて体験できたらいいなと思って、派遣会社を通じて介護のアルバイトを経験しました。現場の声として「スライディングシート高いんだよね」という話を聞いた時に、何かできないかと考えて、それが応募のアイデアに繋がりました。スライディングシートとは、ベッドから車いすへの移動や仰向けからの体勢変換を補助するものです。やっぱり自分で経験して自分で学べることからアイデアを出していくのは大事だなと感じました。
今回受賞した『介護業界の発展』は、どのような提案ですか?
―SDGsやエコを重要視する政治経済と実際に自分で現場を見た介護業界、その両方のためになることはないかということを考えて、「廃棄される衣服を再利用してスライディングシートを作る」ということを提案しました。衣服が大量に廃棄処分されて環境問題になっていることから、それなら廃棄される衣服をスライディングシートとして使えないか?と考えたのがきっかけでした。
思いつくまでの過程としては、実際にヒアリング調査をしてみて、介護職員さんにヘルニア持ちの方が多かったので腰をサポートできる商品を作れないか?とか、食事用の医療器具を作って施設側の経費削減と利用者さんに活用してもらえるものができないか?など考えていました。ただ、僕はまだ学生なのでなかなか難しい点もあったのですが、スライディングシートは実際に作って試すことができたので、この案でいこうと決めました。実際に自分が着なくなった服で作った時は、耐久性や安全性が商品を作る上では大事だと思ったので、友人に試してもらったりして、素材は布製品よりナイロン製が安定することが分かりました。
自分のプランの強みは、廃棄する服でナイロン製を使えば耐久性があること、元々ゴミになるはずだったものを使うのでエコだし、初期費用がかからないので経費削減につながることです。それに、安く仕入れたから安く売ることができます。インターネットで検索した時に、従来の商品は1,500円が定価でした。僕が提案したプランでは、市場の定価を下回る1,000円での提供としていたので、そこが一番の強みでもあります。弱みとしては、形にする力が必要であること、一人では生産性が少なく、必要とされた時にスムーズに商品を提供できないことです。こういった強みと弱みを考えて、プレゼンに臨みました。
大会に参加してみてどうでしたか?
―大会では、自分の提案をプレゼンした後に、四国県内で起業している社長さんとの質疑応答があります。提案したことについて、細かく質問されて、勉強不足で答えられない面もあったのですが、プロの方はこういう視点で物事をみるのか、とか他にもすごい提案をしている方がいたので、とてもいい社会勉強になりました。
他の応募者はチームで参加している方も多くて、助け合いながら意見をしっかり発表していたのを見てすごいなと感じました。パワーポイントでのプレゼンの仕方も、プラン内容がすべて頭に入った上で発表しているので原稿をじっと見ることもなく、重要な点はポインターを使ってしっかり前を見て伝えていて、やはりそういった参加者はプレゼン力が高得点でした。自分の場合は初めてで緊張したし、原稿も真面目に読もうとしてガチガチだったので、プレゼン力の面では力不足だったかもしれないんですけど、特別賞を受賞することができて嬉しかったです。
なので、またいいアイデアが浮かんだら今年も大会に応募してみたいなと思っています。今度は僕も友人を誘ってチームで参加してみたいですね。
大会に参加してよかったことを教えてください。
―すごくいい経験や社会勉強になりましたし、特別賞四国産業人クラブ賞という名誉ある賞をいただけてすごくありがたいです。将来就職する時に自分の実績にもなりますし、他とは違ったアピールポイントになるのではないかと思います。今回のことで本当に周りに恵まれているなと感じていて、僕を支えてくれた家族や友人たちにはすごく感謝しています。
自分が成長できたと思うことを教えてください。
―僕は元々あがり症で、人前で発表したり、人と話す時に自分の言いたいことをうまく伝えられなかったんですけど、この大会を機にプレゼンの力やコミュニケーション能力が少し上がったなと感じています。文章を作って人に発表する中で、こういう伝え方よりはこういう伝え方がいいなということを考えたり、家族や友人たち相手に練習をしてみたりして、本番のプレゼンを終えた後には自分に自信がついたと思います。
それに、この大会を機に、もし将来自分が医療業界とかで何か助けたいと思った時に自分の持つアイデアが役に立てるかなとか、NPO法人でサービス提供者とうまく連携できたら商品開発にも繋がるかなとか、色々な可能性を感じています。1人ではできなくても、これから色々なことに携わって、自分が本気になれば商品開発も形になるかもしれないと思うようになりました。
本学へ入学した経緯や入ってよかったことを教えてください。
―元々高校を卒業したら就職しようと思っていたんですけど、先生から四国学院大学を紹介してもらって、自分でも色々インターネットで調べていく中で、高校3年生の頃には大学に進学したいと思うようになりました。はじめは他の大学も考えていたんですけど、祖父祖母の介護やコロナの感染状況の中で、先生や先輩から四国学院大学の話を聞いて素晴らしい大学だなと感じました。何を学びたいか?ということを考えた時に、祖父祖母の介護のことや自分自身が心を病んだことがあってカウンセラーやソーシャルワーカーの方に助けられた経験があったので、自分も誰かを助けられる人になりたいと思いました。大学の4年間で取得できる資格がないかと考えた時に、精神保健福祉士という資格を知り、進学を決めました。精神保健福祉士の取得を目指して入ったんですけど、実際に入学して学んでいく中で、カウンセリングを学んで医療の面で患者さんを支えていきたいという気持ちが強くなり、3年生からは心理学・カウンセリングメジャーに変更してより深くカウンセリングを学んでいきたいと思っています。自分の学びたいことが変わった場合でも、メジャー変更で学びたいことが学べるのは魅力的だと思います。それに、授業を担当する先生も、実際に現場を経験している方が多く、授業内容も現場の体験をもとに伝えてくれるので、味の濃い授業が受けられているように感じます。そういう面でも、四国学院大学に入ってよかったと思います。
これからの目標を教えてください。
―大学内の授業を通して国家資格を取得して就職することも、一つの目標としてあります。今回の大会に参加して、大学生活で努力している人は上には上がいると知りました。そういう人たちと同じ土俵で社会に出て競争していく時には、個々の力が重要になってくると感じたので、もっと自分磨きを頑張りたいと思います。大学の勉強に加えて通信講座などで民間の資格を取得したり、例えば自分を見込んで何か企画や大会などに誘われたら、悩む暇があったら行動に移して、積極的に参加して経験を積みたいです。