『“今”より“将来”に活きる経験を』(ボランティア活動)
社会福祉学部 子ども福祉メジャー 2019年度卒業 稲垣美鈴さん
活動内容:ボランティア活動、子ども福祉メジャーでの活動等
ボランティア活動をはじめたきっかけは何ですか。
―最初の頃は、ボランティア活動よりアルバイトをしたいという思いを持っていました。でも、2年生の夏に学童のボランティアに行った時、自分の中で授業と日常生活が近くなったことを実感しました。学童だと学童の子どもとしか関われないので、色んなボランティア活動に参加したいと思うようになりました。色んな人と関わると、授業のことも分かるし、子どもによって対応も違うし、施設や保育所などの場所によっても違うということが分かってから、積極的にボランティア活動に参加しています。
最近では、どんなボランティア活動をしましたか。
―母子生活支援施設の七夕会のボランティアに参加しました。そこは、3年生の施設実習で行かせてもらった施設です。卒業研究は子育てをしている子連れシングルのお母さんについて書きたいと思っているので、施設の方とはずっと交流を持っていました。施設で行われる七夕会にいつもお話会で来ている方が来られないということで、今回私に声をかけていただきました。私の他に、子ども福祉メジャーの友達と、実習に行く予定の3年生と一緒に七夕会に参加しました。七夕会では、ペープサートの劇をしたり、手遊びをしたり、巨大絵本の読み聞かせをしました。老人会の方も参加していて、2、30人ぐらい集まっていました。
実習の時は、時期が8月だったので、施設に来るのは夏休み期間の小学生が多く、あまり保護者の方や保育園に通っている小さな子どもたちと関わる時間はありませんでした。でも、お話会の時に、子どもたちが実習から一年ぶりなのに覚えていてくれたことがすごく嬉しかったですし、実習では関われなかったお母さんや小学生以外の子どもたちとも関わることもできて、しっかり話をすることができました。
ボランティア活動を始めて、自分が成長したなと感じるのはどんなところですか。
―大学に入った理由は、いろんなことを経験して、心の視野を広げたかったからです。それは実現できているかなと感じます。ひとつの方法でも、「うん」という子と「したくない」という子がいた時に、「じゃあ、こっちは?」と具体的な案が出せるようになりました。人と話すのは好きな方ですけど、人前で話すことは苦手でした。でもボランティアだと、大学の方お願いします、と前に立つ機会が多くあったので、少しずつ人前でも話せるようになってきたかなと思います。
関わった人数だけ、自分の考え方や行動の選択肢が広がったので、ボランティア活動は本当にしていてよかったと思います。
子ども福祉メジャーでの活動で印象に残っているイベントは何ですか。
―それぞれのイベントごとに思うことが色々あるので、一つに絞るのはなかなか難しいんですが、「こどもひろば」ですかね。去年の「こどもひろば」は、一年お休みしての開催だったので、先輩たちに聞くということができませんでした。私たちも1年生の時に参加はしているんですが、参加している人数が少なく、具体的な想像ができないまま手探りで始めたので、すごく思い入れは大きいです。先生や同級生とも衝突が何度もありつつ、日程が近づく中で余裕がなくなっていた時もあったんですけど、なんとかお互いに相談しながら本番に近づけていきました。私は、どこのグループにも入っていなくて、お土産を作っていました。そのお土産は私から見て「まあまあ面白いかな?」ぐらいで、実際はどうなんだろうか、と気になっていました。そんな時、善通寺のボランティア先に持っていくと、すごく喜んでもらえました。いくら子ども目線で考えてみても、子どもと同い年ではないので、やっぱり直接子どもに聞いたりするのが一番だなと思いました。
また、こどもひろばの準備の中で、私自身がグループ内で密に制作に関わっている訳ではない分、それぞれのグループの様子を見たり、話を聞いたりするようにということは気にしていました。
同じ学年の子たちは、いろんな個性を持っていて、すごく優しい子たちばかりなので、この学年だからこそ「こどもひろば」が成功したのだと思いました。
子ども福祉メジャーでの学びや経験がボランティア活動にどんな時に活かされていると感じますか。
―ボランティアは、はじまったらすぐに本番で、それまでに準備していたとしても活動中にトラブルが起きることがあります。たとえば本が落ちてしまった時や、子どもたちが元気過ぎた時など、そこで起きたトラブルに対処する力は少しずつついてきたと思います。イベント事で、終わりました、となった後でも子どもたちがまだ目を輝かせていても、最初の頃は「もう終わりだよ」と言って終わらせていたんですが、経験を重ねていくうちに、手遊びやクイズなど、ちょっとした子どもとのやりとりがすぐに出てくるようになりました。それは、子ども福祉メジャーで学び、経験したことが大きいかなと思います。
また、年の離れた子どもと関わることに、はじめはすごく緊張していたんですけど、様々な経験を通して少しずつ慣れてきたと思います。普段から「駄目」とか「危ない」という言葉を使わないように意識していたのですが、部分実習の発表時、失敗もあったんですけど、とっさに出てくる言葉として「こっちにしてみようか」とか、元気な子に「静かに」と言うのではなく「元気だね」という言葉がすぐに出てきていたよ、と友人に言ってもらえたので、とっさの行動や言葉は経験を積んで変わってきました。
子どもたちと関わる上で気をつけていることはありますか。
―言葉遣いはもちろんなんですけど、大山先生の下で学んでいる影響か、「男の子だから」「女の子だから」とか「Aちゃんはこうだから」という考え方があまり好きではありません。だから、子どもたちを一人ひとりの個人としてみるように気をつけています。それに、あまり子どもに制限はしたくないと思っていて、子どもたちのしたいようにさせてあげたいし、それが危なかったら「こうしてみる?」とやり方を変えてみたりしています。遊びでも、子どもに「これして」「あれして」というのは、子どもも楽しくないと思うので、そういう言い方はしないようにも気をつけています。
また、ボランティアで小学2年生生の子に対して他の子たちと同じように接していたら、「子ども扱いしないで!」と言われたことがありました。それから、あまり子ども扱いしすぎず、年代に合わせて個人を尊重して関わっていけたらいいなと思って関わっています。
ボランティア活動で学んだことをどのように将来に活かしていきたいですか。
―子どもの数だけ個性はあると思うんですが、様々な活動を通して色んな子どもたちを見てきたことは、関わる子どもを見る1つの手段やヒントとして考えられると思います。子どももそうなんですけど、施設の方や保護者の方と話す機会がボランティアでは多かったので、大人とも関わることができました。子ども大人関わらず、人との関わりをボランティアでは学べるものがありました。今よりも将来の方が人と関わることは多いと思うので、この経験が役に立つと思います。一人ひとりと向き合って、ちゃんと関わりたいと思っています。子どもも大人もそれぞれに悩みがあると思うので、話をしたり、人と関わったり、コミュニケーションをとることで「明日も頑張ろう」と思ってもらえたり、少しでも前向きになってもらえたらいいなと思います。
それに、先生には「勉強もいいけど、現場も見てきて」と言われていました。ボランティアで現場を見たことで、人との関わり方や失敗した時の対応など、学べたことは大きいと思うので、それをそのまま将来にも活かしていきたいです。
就職しても、ボランティアに参加できるなら参加したいと思っています。やっぱりそこだけしか見えないのはもったいないし、色んなものを見たいし、学びたいと思うからです。
ボランティア活動に興味がある後輩へ、何かアドバイスやメッセージがあればお願いします。
―私が実際に施設の方から、「どれだけ勉強してどれだけ知識を頭に入れていても、経験がなかったらさっとは動けないし、勉強は基本的なことは学べるけど、応用的なことは経験からしか学べない。様々な場所や色々な人と関わることでしか学ぶことができないことがあるから、勉強も大事だけど、ボランティアなどの経験をたくさんしてきてね」ということを言われたことがあります。この言葉が、ずっと私の心に残っています。やっぱり教科書やビデオから理解するのは限度があるので、今の子どもの姿を直に感じたり、失敗した時や成功しそうな時の現場の雰囲気とか、現場でみんなの前に立たないと分からないことがたくさんあったので、現場でそれを見て、感じて欲しいと思います。失敗しても他にフォローしてくれる人もいるし、失敗して自分で立ち直る経験も必要だと思うので、怖がらずにボランティアに参加して欲しいです。
今だけを考えると、バイトをしていた方が良いと思うかもしれないんですが、後から思い返した時に後悔すると思います。私も一年生の時は、年々忙しくなる、と先生や先輩に言われていても、今が忙しいから、と参加していなかったんですが、もっと早くから色んな経験をしておけば分かることもあっただろうし、ボランティアを通じて人とつながれることがすごくたくさんあったので、もっとしておけばよかったと今になって後悔しています。
だから、興味があるなら、怖がらず、とりあえずボランティアに参加してください!