『海外での交流を通して』(海外経験)

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2017.06.19 留学・研修プログラム

社会学部 観光学メジャー 2017年度卒業 長井恵里さん

活動内容:世界のろう者との交流
活動場所:カンボジア、ベトナムなど

海外旅行に行こうと思ったきっかけは何ですか。

─大学生になるまで、海外に行ってみたいとは全く思っていませんでした。それまでずっと地元から出たくなくて大学が香川というのも嫌でした。しかし、大学に入ってから友達も増えて、その友達がいろんなところへ行っているのを見て、自分も行ってみようかなと思いました。それで気づいたら11ヶ国も行っていました。
 初めて行ったのは大学1年生の時のグアムです。観光だったので友達と一緒にデパートでショッピングをしたり、パラセーリングをしたりして、とても楽しかったです。
 耳が聞こえないので、コミュニケーション面で不安がありましたが、身振り手振りで聞こえる人よりも意思疎通ができると感じました。

世界のろう者と交流するようになったのはいつ頃からですか。

─初めて世界のろう者と交流したのは大学2年生の時に訪れたカンボジアで、ろう学校を見学し寄付もしました。その次は大学3年生の時に訪れたベトナムで、ろう学校やろう協会、青年部を見学しました。

カンボジアでの交流はどうでしたか。

─私が今、大学に行けているのは本当に恵まれていることだと考えさせられました。カンボジアにもろう学校がありますが、行けない子どもが多いのが現状です。私が訪れた時は100人ぐらいの子どもたちがいましたが、同年代の子が小学6年生ということに驚きました。

ベトナムのろう学校ではどんなことをしましたか。

─日本の大学について、大学でどういう過ごし方をしているかなどを講演しました。私はノートテイクを受けていることや食堂で友達と食べていることを写真も見せながら話しました。ベトナムの場合は、大学に進学する人は少なく、就職もできない人が多いです。運転免許の取得も認められていないので、「どうして日本は進学や就職ができるの?」と難しい質問もありました。ろう者が周りから認めてもらえない現状の中で講演するのはとても緊張しましたね。

ベトナムでの交流はどうでしたか。

─ベトナムではハノイろう学校で講演、ダナンろう学校の見学、ホーチミンろう協会の見学をしました。ベトナムに行ったことがある友達と一緒に行っていたので、その友達や現地の人からベトナム手話を教えてもらいながら覚えました。ベトナム手話は日本手話と全く異なるので、初めは戸惑いましたが「アメリカ手話をベトナム手話でいうと何?」と知っているアメリカ手話からベトナム手話に変換しながら覚えました。ベトナムでも少し前まではアメリカ手話が主流だったそうですが、今はベトナム手話を普及させようという動きになっているようです。
 ベトナムでの交流でできた友達とは、たまにテレビ電話で連絡を取っています。
また9月に所属している全日本ろう学生懇談会の海外研修プロジェクトの一環で行く予定です。ろう学校で教鞭をとる経験ができるので楽しみです。

新しい発見はありましたか。

─ベトナムではみんなが積極的に挙手して発言していて、リーダーも一人ひとりから意見を導いたりまとめたりするのがとても上手くて感動しました。日本人は大人しい、あまり意見を言わないといいますが、その通りでとても痛感しました。
リーダーの在り方について考えさせられ、色々と新しい発見があった有意義な時間でした。

11ヶ国の旅行の中で印象に残っているのはどこですか。

─今までアジアに行くことが多かったのですが、イタリアで初めてヨーロッパの地を踏んだ時はすごかったです。
多人種が共生していて、のんびりとゆったりとした時間が流れていました。
5日間で7都市を周遊し、お金や時間が限られている中で1日に1都市でしたが、それでも十分に楽しめました。観光学で学んだ世界遺産を実際に見られてとても嬉しかったですね。

海外に行って、自分の中で何か変化はありましたか。

─コミュニケーション能力が上がったと思います。それに今まで地元から出たくないと思っていたのに、世界中を旅したいと刺激を求めるようになりました。また、旅のプランを考えて航空券やホテルを個人で手配してきたので計画力も身に付きました。

日本でのろう者との交流を教えてください。

─全日本ろう学生懇談会というろう学生からなる団体に入っており、そこで全国のろう学生と交流しています。同世代の人たちとリアルタイムで議論ができる場です。
海外旅行の経験もありますが、この団体に入ってから意見を述べられるようになりました。このことから大学に進学してよかったなと幾度も思います。
 また、地元の青年部の部長をやっています。今年度から新体制で発足して、仲間づくり・学習づくり・要求づくり、の三本柱に沿った活動をしています。私たちの生活が不自由なく恵まれているのは、ろうあ運動をしてくれた先人たちのおかげであることを多くの人に知ってもらうために、これからも活動していきたいです。

将来にどう活かしていきたいですか。

─大学に入ってから「思い立ったら行動に移す」をモットーにしているのですが、これまでの決断に後悔はありません。むしろ、すべて自分のためになっているのでよかったなと。社会人になったら、経験を振り返り、慎重に行動に移していけたらと思います。
 また、『課題解決』をビジョンにしている企業で、ろう者の業務範囲拡大などろう者がもっと暮らしやすい環境づくりに貢献していきたいです。

海外での活動や交流に興味がある後輩へアドバイスやメッセージがあればお願いします。

─やはり、思い立ったらすぐに行動に移した方がいいと思います。思い立った時点で、自分に必要なことだと思うので、迷っている暇はないと。地元を出る前はあらゆることを親や先生に任せていて、大学を選んだのも先生でした。今思えば、自分に関わることは全部自分で決断した方がいいと思いますね。自分が「これだ!」と決断したことはそれなりに続きますよ。