人権週間講演会を開催しました
2025年12月18日(木)に開催した人権週間講演会では、社会学者・宮台真司さん、教育ジャーナリスト・おおたとしまささん、キャンプディレクター・阪田晃一さんが、「子どもを“森”で育てる――森のようちえんの可能性」をめぐって語り合いました。学生・教職員・一般の方々など、合わせて約300名が聴講しました。
森のようちえん(野外保育)は、子どもが自然環境に誘われるまま自由に動き回り、保育者は“目が輝く瞬間”を見逃さず、必要最小限のかかわりで学びを後押しするスタイルとして共有されました。モンテッソーリやシュタイナーなどの要素が重なり、日本の里山という環境がその力を引き出す、という見取り図も示されました。
気候変動、戦争、民主主義の機能不全に加え、ウェアラブルやAIが日常に入り込み、良くも悪くも変化が加速する時代において、個別のトラブルをその都度直すだけでは追いつきません。そうした問題意識のもと、「なぜ森のようちえんが地球や人類を救う入口になり得るのか」を、社会学にとどまらず、哲学・人類学・心理学・生物学・経済学・政治学、さらには宇宙や宗教のスケールまで広げて考える時間となりました。宮台さんの“問いの地図”、おおたさんの“現場と言葉の翻訳”、阪田さんの“体験設計”が交差し、参加者は講演の終わりに「私たちはどこから来て、どこへ行くのか」という問いを持ち帰りました。
また、前日に実施された性愛ワークショップでは、「その人のために死ねる」と言えるほど相手を思えるか、そして、そうした深い関係を誰かと結べるかが論点になりました。講演会当日には、AIには担えない「共同身体性」や、教えることや目的達成だけに回収されない「共同体験」の必要性も語られ、森の実践が現代社会の根っこに触れる営みとして捉え直されました。