卒業生紹介

太田 久美子さん

社会学部 身体表現と舞台芸術マネジメントメジャー(現:身体表現と舞台芸術メジャー) 2016年度卒業
有限会社アゴラ企画/青年団 勤務

学生時代はどのような学生でしたか。また大学生活で印象に残っていることは?

 大学生活のほとんどは、四国学院大学パフォーミング・アーツ研究所(通称:SIPA)に連日通い続け、常に職員の方と演劇公演の準備を進めていました。授業と授業の間も、私の頭の中は演劇公演のことでいっぱいでしたね。1日の授業を終えた後も、ノトススタジオへ通い、けいこや本番に向けて準備を進めていました。印象に残っているのは、4期生14名で作り上げた卒業公演ですね。4年生最後の公演を、3年生の秋頃から始動し、打ち合わせを重ね、時には衝突しながら作り上げた経験は、今でも私の背中を押してくれています。辛くなった時、卒業公演のDVDを見返したり、劇中で使用した音楽を聴いて踏ん張ったり、糧になったりしています。

 

※パフォーミング・アーツ研究所:学外活動を含む本学の全学的ドラマ・エデュケーションを推進する機関として、全学生や教職員、地域社会に対するドラマ・エデュケーションの推進と支援やメジャー・マイナーのカリキュラムの推進と支援などを行う。

現在の職業を選んだきっかけはなんですか?またどのようなことをしていますか?

 高校1年生の時に、芸術鑑賞会で舞台を見て演劇に興味を持ち、演劇を学べる大学に行きたいと思い、演劇コースが設立されたばかりの四国学院大学を選択。舞台に立ちたい思いがありましたが、演劇のことを何も知らない状態で入学したので、まずは雰囲気をつかもうとスタッフから関わることに。仙石先生に「制作に興味がないか」と声をかけていただいたのが、私が制作を始めるきっかけでした。いろいろな公演に制作として携わるようになり、やりがいや楽しさ、喜びを多く感じるようになりました。卒業しても演劇を続けたいと思い、今の仕事につきました。

 制作の仕事は、情報公開など広報スケジュールの検討・手配などの取りまとめから、チケット販売、劇場とのやり取り、お客さま、出演者、スタッフの窓口として活動しています。旅公演の場合は、ツアーメンバー全員の宿泊・交通手配、食事・お弁当手配なども業務も増えます。記者会見を開く時は、会場や日程調節、資料作成を行っています。

 大学から演劇に関わり、演劇教育担当の仙石先生の一声で進んだ制作の道。今は制作の仕事にも慣れ、担当する公演も増えて、多くの仕事量をこなせるようになりました。新型コロナウイルスの影響で多くのイベントが中止になる中、青年団の公演は対策を取りながら何とか続けることができています。今は通常の業務の他に団員の健康チェックや公演の感染症対策など細かな業務が増え、忙しい日々を過ごしています。

大学時代の経験は、現在どのように活かされていますか?

 大学の4年間は私の原点です。大学時代に教わった基礎をもとに、今は職場の先輩にさまざまなことを教えていただき、さらにキャリアアップしています。大学時代は授業でしたが、今は仕事として報酬が発生し、「責任」がついてきます。私自身がまだまだ未熟なこともありますので、経験を積んでキャリアアップすると同時に、これまで教わって得たものを、新しい人にどう伝えていくかが今の私の課題です。

現在の仕事での魅力や喜び、苦労したことはなんですか?

 公演の準備は、1年以上前から始動します。日々準備を進め、初日を迎え、大きなトラブルなく全ステージ終演したときは、本当にうれしいです。公演は、「その時」が最初で最後の瞬間。作品は、長い年月上演され続けますが、時代に合わせて内容が更新され、出演者・スタッフ・時代背景・観客も変わってきます。その瞬間に立ち会えることは、大きな魅力です。

 制作は多種多様な業務があり、時には複数の現場を同時並行で進めていかなければならない時もあります。大変な時期もありますが、一つ一つ着実に進めていくと、必ず終わりが来ますので、今では大変だと思わなくなりました。その苦労が報われた時にはやりがいを感じます。

これから社会に出ていく後輩に、先輩としてメッセージをお願いします。

 社会に出ると、全てが自分の思い通りにはなりません。各所方面からの理不尽な物事に耐えうる力、受け止める力、対応できる力が求められます。制作は各所方面の窓口になりますので、理不尽な要求もありますが、それにも対応できる力を少しずつ身につけていきたいと思っています。