平和学メジャー

なぜ? 原因は? 解決策は?より良き共生創出のために。

平和研究とは核戦争を回避するための研究から始まり、戦争のない状態を目指す考え方でした。
しかし現代では、さらに積極的に考え、「人が人として尊重され人と共に生きられる状態」の実現を目指しています。未だに世界には、差別や偏見、貧困、紛争、暴力、抑圧、環境破壊、飢饉など多くの脅威があります。
平和学メジャーでは、なぜ平和が必要なのか、実現できない原因は何なのか、解決方法は何かなどを研究し、より良い共生が創り出されるように探究してゆきます。

教員紹介
●平和学メジャーコーディネーター ムアンギ・ゴードン

■核の脅威から始まった学びは、時を経てさらにその意義も深く。

初めて耳にした時は、「平和を学ぶとは、どういうことか?」と思うでしょう。しかし平和学は1974年、全国初の試みとしてここで学びが始まったと聞けば、その歴史の長さと重みに驚きを伴って納得させられる思いです。まずはそうした“学びの背景”あたりから、メジャーコーディネーターのムアンギ ゴードン教授に伺いました。
「あの当時は国際的な冷戦時代で、米ソ間における核の脅威がありました。そんな時世の下、『過ちあれば人類は滅びてしまう』という危機感から始まったのが平和学です。ただ時代は移り、平和=反核だけでは語りきれず、間違った認識にもつながりかねません。いまこそ、日本国憲法九条の意義を広く世界に発信すべき時。そうした意識改革の取り組みは、若い内からやらねば……と」

■相手を理解し思いやる気持ち、そこが平和へのスタートライン。

このメジャーで育てたい「平和を希求できる人」とは、つまり「人と共に生きられる人」であるとも言い換えられます。教える内容が単なるお題目としての“人権や平和”にとどまらず、「命を大切にすること」「思いやりの心を持つこと」「相手を理解しようとすること」などに及び、それらを自らの生き方に取り入れられるようにと考えられているからです。
「平和は、人の心に訴えかけないと生まれません。たとえばイスラエルとパレスチナでは、民族は同じなのになぜ戦火が絶えないのでしょう? イスラム教とキリスト教で分かれてるから? どんなケースも、答えを探っていくと『人としてどうあるべきか』に行き着くんですね」

■互いに支え合って一つになる。いさかいのない真の平和は、その先に。

「要するに、『自分がされたくないことは他人にするな』ということ」と、教授は語ってくれました。それを裏返して、「人にしてもらいたいことを、人にしてあげなさい」が教授の胸に抱く座右の銘であり、それは国連の壁にも掲げられてる言葉でもあるとか。
「それは、どんな宗教や人権の基本にもある考え方。言われなくてもわかるようなことですが、実際にできてないから紛争がなくならない。それぞれの原因はどこにあるのか、それを改善していかないと。『自分さえ良ければ』では、社会の不満や貧困は増すばかりですよ。神が我々を創ったのは、一緒になる、あるいは互いに支え合わないと人間は生きていけないことを知らしめるためと思います。地球上の人がみんなそう思えば、戦争はきっとなくなる。そういうことです」

■重ねゆく、根源的な問い。答えは得てして簡単なことに。

自分の社会や国だけでなく、グローバルな考えに基づいて「自分よりも恵まれてない人を助けられるような国際人になってほしい」と教授は願っています。そのために数々の実習や演習があり、多くの人々と交流し理解し合う中から“新しい自分”を見つけ出してほしいとも。
「正しい心さえあればつながり合えるので、早くそういう意識を身につけてもらいたい。そのために国内外いろんな場所に出かけていって、ボランティア活動なり研修などを積んでいく。すると、言葉や肌の色が違えども、『地球人は同じである』と、共通してることの方が多いと実感できるはず。
アフリカは遠いですか? 南アフリカなど、1994年以前は行こうと思っても行けませんでした。それがいまは、ここで学んで向こうに留学して、そのまま向こうで居ついて活動した人もいるくらいなんですから。
あるいは無関心で卒業したような学生でも、思いがけず再会した時に『平和学を学んで良かった』と言ってくれたりすることがあります。ホントにそれは、一番うれしい瞬間ですねぇ」
平和学を勉強するということは、人がいかに生きていくかを学ぶのに近い気がします。当たり前では得られず、繰り返される努力の積み重ねの先に初めて見えてくるもの。尊いことは、えてして簡単なものの中にあることを再認識させられたお話でした。

カリキュラム
●履修できる科目●

こちらから平和学メジャーのカリキュラムを確認できます。

卒業研究
●過去の研究テーマ例●

こちらから過去の研究テーマタイトルを見ることができます。

目指せるキャリア

●公務員 ●NPO・NGOスタッフ ●ジャーナリズム ●企画会社
●出版会社 ●販売会社 ●中学校・高等学校教員など

学びのスタイル
●在学生ボイス●

こちらから在学生の履修スタイル例や、このメジャーで学んだことなどを紹介しています。