地域社会と福祉実践メジャー

教室を飛び出して実学としての福祉を学ぼう!

このメジャーでは、福祉ニーズを持つすべての人々が、その人らしく安心して生活できる地域社会を形成するために、人・機関・団体・法制度等の福祉資源を組織して、環境の改善や住民参加の福祉を目指すという地域福祉実践について学びます。具体的には、地域福祉に関連する理論や体系、政策や法制度、コミュニティワークを、座学の他に演習や福祉現場での実習、ボランティア活動等のあらゆる機会を通して学習することで、地域社会がもつ福祉課題(住民個々の生活課題)の解決策を探るというものです。

教員紹介
●地域社会と福祉実践メジャーコーディネーター 西谷清美

■その人と地域が暮らしやすいように。生きてゆくって、そういうこと。

地域福祉の基本的な考え方は、福祉ニーズを持つ全ての人々を地域から隔離することなく、地域住民として安心して生活できるよう、社会資源の活用や開発整備、福祉の組織化や福祉教育の展開などを総合的に行うというもの。何やら難しそうな定義あたりから、このメジャーコーディネーターである西谷教授に尋ねてみました。

「社会福祉実践はそのままソーシャルワークでして……社会福祉ニーズを持つ人への個別相談援助をベースに、その人が住む地域への働きかけを行う。つまり個への直接支援と共に、環境や慣習など、その地域での暮らしやすさを一緒に見つけていくという間接支援が重要なのですね。当たり前のことですが、人は地域で生きているのですから」

■福祉ニーズ持つ人に間接支援、机上論にならぬよう全て実践で。

地域での福祉実践は、人と人、人と仕組み、人と機関や団体などを必要に応じて繋ぐことで、そうして誰もが暮らしやすく豊かな地域社会づくりをめざすのが主旨。なので、このメジャーにあっては、地域とそこで暮らす住民の生活に関する諸問題を社会福祉の視点から理解し、解決に向けた計画や援助の方法についての学びを通して、何より実践力を身につけねばなりません。
「間接支援には地域の中で援助者を組織化したり、リソース……つまり資源を発掘したり何もなければ開拓や開発をしていくことが求められます。それが決して机上論にならぬよう、実践で伝えていくということが本メジャーの核たる部分ですね」

■障害のある人がどう暮らすか、想像してみることが始まり。

最初の一歩は、障害のある方々が地域の中でどんなふうに生活してるかということに関心を払い想像してみること。たとえば、「仕事がないんじゃないか?」とか「友だちがいないんじゃないか?」とか「日常的に通っていく場所がないんじゃないか?」とか。もしホントにそうなら、豊かに生きているとは到底言えません。同じ人間としての欲求やニーズを満たせるよう、支援を必要としている人々とともに地域を耕していくことが大切です。そこにこそ、このメジャーの存在意義があります。
「地域の中でソーシャルワーカーとしてどのような活動を展開すべきか……という、いわゆるコミュニティワークの実践。学生たちに教えたいのは、そういうことなんですね」

■社会に出て戸惑う前に、正しい実践力を身につけよう。

このメジャーでの学びは、大学内だけでは決してできません。地域で活動している事業者や専門職、住民の方々と一緒になっての体験学習、あるいはボランティア活動。そうした機会を年に数回経験して学ぶのです。
「私たちは、いろんな科目を通して学生たちに学びの地図を渡してるようなものです。原則や理論、先行研究というのも一つの地図には違いないんでしょうが、それだけでは『実際に行ってみたら違ってた』ということになりかねない。だから、なるべく実践力を備えた正しい地図を描く術を覚えて卒業してもらいたいと、いつもそう願ってます。社会に出ればとかく現場中心となって、それがホントに社会福祉のニーズを持つ人々に正しく向き合ってるかどうかは甚だ疑問ですから」

■いつか備えてほしい、“共感力”“行動力”“創造力”。

加えて、このメジャーで育てたいのは、福祉分野において地域貢献できる“共感力”“行動力”“創造力”のある人材(専門職含む)であると、常々西谷教授は唱えます。
「まず、共感力。感受性の有無には個人差がありますが、それは成長と共に深みを伴って変わってくるものです。人の話をシッカリ受け止められるとか、人に寄り添う力があるとか、そういったことでしょうか。二つ目に、行動力。感じたままでなく、十分思慮して行動する力です。障害のある方々の背景には、長く苦しい差別の歴史があったりします。そのことを言うと憤る学生がいたりするのですが、感情論に走るのではなく、なぜそういう歴史があったのかを深く洞察してもらいたいんですね。そして、創造力。これは、これまでにも述べた想像力にもつながります。つまり、『イメージなくしてクリエイティブなし』なのですよね」

伝えたいことを、丹念に。実直な人柄が自ずと知れる、そんなインタビューでした。

カリキュラム
●履修できる科目●

こちらから地域社会と福祉実践メジャーのカリキュラムを確認できます。

卒業研究
●過去の研究テーマ例●

こちらから過去の研究テーマタイトルを見ることができます。

目指せるキャリア

●社会福祉士(ソーシャルワーカー) ●公務員 ●精神保健福祉士
●ケアマネージャー ●社会福祉主事 ●福祉相談指導専門員 ●教員(中学校・高等学校・特別支援学校)など

学びのスタイル
●在学生ボイス●

こちらから在学生の履修スタイル例や、このメジャーで学んだことなどを紹介しています。