このメジャーでは、まずベースボール(野球)を学問として捉えることから始まります。練習や試合をただ単に批評するだけでなく、視点を様々に変えて見ることで科学的にアプローチして学びを深めていくのです。野球の技術習得や指導方法、それも大事なことですが、それ以上にスポーツ科学的理論・実践はもっと大事。そうしてこそ初めてベースボール全般の知識と技能が磨けるのであって、真髄を学ばねば意味ありません。真の“野球人”創出を目指し、頑張っています。
聞き慣れない“ベースボール科学”メジャーコーディネーターである漆原教授は、同時に四国学院大学野球部の部長でありかつ副学長でもあります。お話を伺った部屋の本棚にはなぜかマンガ“巨人の星”登場人物のフィギュアが並べてあり、思わず「ファンですか?」と聞いたことから話は始まりました。
「いや、これは反面教師の意味でしてね。あの中で描かれてたトレーニング方法は、ほぼ間違ってたと断言できるんです。たとえばタイトルバックにいつも流れてたウサギ跳びですが、スポーツ科学上では絶対やってはいけないこと。腓骨骨折の原因になるし、その他の悪影響も懸念されると20年くらい前に国際学会でも発表されていますからね」
ベースボール・野球を学問として捉え、様々な視点や領域から科学的に学びを進めていくこのメジャー。それは単に技術や指導方法の習得にとどまるものでなく、ベースボール全般にわたる幅広い知識を身につけ、さらには野球に関わる様々なビジネスに対応していくということ。つまりここでは、真の“野球人”育成を目指しているのです。
「国内大学では初の、野球を専門とした専攻課程、学問領域。ですから本気で野球選手を目指す人にはもちろん、トレーナーや指導者、あるいは報道関係までをも含めて、『野球が好き』という学生なら男女関係なくウェルカムですね」
選手をめざす者は例外なく野球部員となるのですが、そこは四国六大学優勝常連校。質の高い練習や試合を通して、ベースボール科学の理論と実戦方法を学んでいくことができます。
大学の野球が高校野球と決定的に違うのは、木のバットを使用すること。打球が一気に飛ばなくなって頭を抱え、それぞれに考え方も変わってくる一方で「それでもプロを目指す!」と切り替える学生が大半なのだとか。
「とにかくプロ野球選手、できればメジャーリーガーを輩出したいと思っています。たとえ選手ではなくとも、野球に関わる様々なビジネスでの活躍は期待できるでしょう。それはプロ野球や社会人野球の運営スタッフや、また野球用品を作るメーカーや販売員であってもいいじゃないですか。それが、いわゆる“真の野球人”だと考えますね。結果的に就いた職が、消防士や警察官などであったとしても、十分にそれは褒められるでしょう。だって、野球を通して心と体を鍛えられた証ですから」
漆原教授は、宇都宮出身。両親が強烈な巨人ファンで、筑波大大学院から教職という経緯です。冒頭の話に戻るようですが、否定されるべき“星一徹症候群”を実際に証明してみせた選手がいました。いまさら「ガンバレ!」ではダメで、ましてや「根性!」でもありません。いわば、「クールに、ケガなく」。では、具体的に何をどうすればいいのでしょう!?
「ここには、十分過ぎる環境がすでに整ってますからねぇ。ただ“スポーツ栄養学”の講義は、みんな真剣に聞いてますよ。これまではあまり“食”について具体的指導を受けてないというのと、自らの体に直接影響することをヒシヒシと感じるからでしょう」
こちらからベースボール科学メジャーのカリキュラムを確認できます。
こちらから過去の研究テーマタイトルを見ることができます。
●プロ野球選手 ●社会人野球選手 ●球団職員
●野球指導者 ●スポーツトレーニング指導者
●スポーツメディア ●野球・スポーツ用品製造
●野球・スポーツ用品販売 ●大学院進学
●公務員 ●消防士 ●警察官 ●教員など
こちらから在学生の履修スタイル例や、このメジャーで学んだことなどを紹介しています。