学生活動

『行動力を武器に!』

 

 

 

 

 

手銭 由貴 さん

島根県立三刀屋高等学校出身。
株式会社山陰中央新報社内定。

入学式で出会ったピア・リーダーに憧れ、2年次からはピア・リーダーとして活動した手銭さん。大学では、どのようなことを学び、どのような将来を考えているのかを話してもらいました。

 

大学ではどのようなことに取り組みましたか?

――ピア・リーダーの活動とインタレストの制作です。入学式で出会ったピア・リーダーの先輩の姿に憧れ、私もピア・リーダーをしようと決意しました。もともと、人見知りで、今みたいに誰とでも話せる性格ではなかったので、入学当初は、ひたすら下を向いていた気がします。そのような中で、ピア・リーダーの先輩が話しかけてくれたり、友達との間を取り持ってくれたすることで、友達も増え、大学生活が充実するようになりました。あのとき、ピア・リーダーに挑戦して本当に良かったと思います。ピア・リーダーとして、成長できたから、今の自分があると思います。2年次からは情報加工学メジャーを専攻し、フリーマガジン「インタレスト」の制作にも携わっています。6月と12月、年2回の発行で、企画、取材、編集、発行まですべて学生が行います。ここでは、「情報に付加価値をつける」ことを学びました。情報を整理し、付加価値をつけることで、より価値のある情報に変わることを実感しました。私自身も「どうしたら他と差別化できるか」、「この情報をカテゴリ分けすればどうなるのか」など、常に考えながら行動するようになりました。

四国学院大学へ進学した理由を教えてください。

――高校で始めた演劇を大学でも続けようと思っていたからです。幼い頃から、テレビっ子で、テレビをよく見ていました。将来は、テレビ局の裏方の仕事に就き、出演者を自分の手でもっと輝かせたいという気持ちがありました。似たようなものだと思って、演劇の強い高校へ入学しました。入学当初は、スタッフに興味がありましたが、支えられる側(キャスト)がどのようなものかを知ったほうがいいと思い、裏方の仕事もこなしながら、キャストとして3年間活動しました。脚本を自分たちで選び、演出も自ら行う、時代劇に取り組むときには、地元の人に殺陣を教えてもらったり、衣装にもアドバイスをもらったり、とても充実していました。大学でも、演劇を続けようと思っていましたが、授業を受けていく中で、抽象的な演劇よりも、高校のときに経験した、笑いあり、涙ありの大衆演劇をしたいという気持ちが強くなりました。そして、大学では演劇以外のことに挑戦しようと決めました。四国学院大学では、様々な学びの分野があるので、私のように目標が変わった人でも、何か興味のあることを見つけることができると思います。

将来の目標を教えてください。

――卒業後は地元島根県の新聞社で働く予定です。地元の人口が減っていくことに寂しさを感じ、地域を活性化したいという気持ちから、島根県での就職を考えていました。その中で、新聞社やテレビ局など、演劇の経験、インタレスト制作で学んだことを活かせる会社を探していました。ただの営業に来た人ではなく、手銭由貴として、地域の方々と深く関わっていきたいと思います。

インタレストの制作では、香川県内にあるダムの特集を組み、各ダムの特徴を調べました。

インタレスト紹介ページ

『もっと日本語で会話したい ~日本での留学~』

文学部 人文学科 全 声 賢(ジョン ソンヒョン)さん

韓南大学校(韓国)

幼い頃から日本のアニメやドラマが好きだったという全さん。
今回の日本での留学で、どのようなことを体験しているのでしょうか。

日本に留学しようと思った理由を教えてください。

――韓国でも日本のメディアに触れる機会があって、私は幼い頃から日本のアニメやドラマが好きでした。だからずっと、日本語を話せたら楽しいだろうなと思っていました。歴史にも興味はあったのですが、人生は一度しかないので、やりたいことをやってみようと思い、日本語の勉強をするために大学では日本語学科を専攻しました。日本語をもっと話せるようになるためには、留学するのが一番だと思っていた時に、韓南大学校の先生から姉妹校である四国学院大学を紹介してもらいました。留学のために一生懸命日本語の勉強をしたので、日本に来ることができて嬉しいです。

留学中の目標があれば教えてください。

――12月にある日本語試験に合格するのが目標です。留学での最終目標は、日本人と同じように日本語をペラペラに話すことです。私の夢は空港の職員として働くことなので、今回の留学経験を活かして空港で働きたいと思っています。

日本に来てみてどうですか?

――日本に来るのは今回が初めてです。まだ色々なところに行けていないのですが、最初に関西空港から大学までの道のりで、電車の乗り方には少し戸惑いました。でも、韓国と似ている点も多かったし、日本人が優しく教えてくれるので、問題はありませんでした。

四国学院大学の印象はどうですか?

――以前四国学院大学に研修などで行ったことがある先輩や同輩たちから四国学院大学の話は聞いていて、だいたいのイメージはできていました。でも、コロナ以前にマグノリア学寮はなかったので、初めて寮に来た時には驚きました。
静かで勉強に集中できるいい環境が整っていて、学生や教職員の皆さんがとても優しいので、とても満足しています。

マグノリア学寮での生活は?

―― 一人部屋なので、一人暮らしのように自分だけの空間が持てて、勉強にも集中できています。最近建ったばかりなので、室内もとてもきれいで、過ごしやすいです。カフェテリアコイノス(食堂)での食事も、韓国と似ているものも多くて、全部美味しいです。

印象に残っている授業について教えて下さい。

――「教育実践と舞台芸術Ⅲ」と「日本事情」です。「教育実践と舞台芸術Ⅲ」では実際に演劇をするために準備をしていて、日本人の学生と留学生とで一緒に練習をしています。演劇を通して日本語の勉強もできて、日本人学生と交流ができるので、とても楽しいです。それに、国際オフィスアシスタント(※1)の学生が知らない単語などを教えてくれてサポートしてくれて、先生方も優しいのでとてもありがたいと思います。
「日本事情」では、香川県内だけでなく、四国各地に行っています。やっぱり日本の色々な場所に行くことができるので、この授業が今一番面白いです。ただ観光するだけでなく、お城やその地域の歴史を教えてもらえるので、いつも真剣に説明を聞いています。

「日本事情」で訪れた場所で印象に残っているのはどこですか?

――「讃岐の金毘羅さん」で知られる金刀比羅宮です。階段を上るのが大変だったので、記憶に残っています。金毘羅にある歴史や特徴を橋本先生が詳しく説明してくれたのも興味深かったですし、勉強になりました。祭りなどがある特別な日には普段は開かれない場所が開いたりするということも聞いて、一度お祭りに参加してみたいなと思いました。

本学でチャレンジしていることやしたいことはありますか?

――最近は、チャペルやマグノリア学寮にクリスマス・イルミネーションの飾りつけをしています。はじめは何をするのか分からなかったのですが、実際にやってみると、作業も難しいことはあまりなくて、みんなで力を合わせてできるのが楽しいです。イルミネーションが光る景色を見るのが楽しみです。
今は試験に向けて全力で勉強しているのですが、試験が終わったら日本人の友達をたくさん作りたいです。部活やサークルなどの活動にも参加してみたいです。

日本に来て、自分が成長できたと思うことはありますか?

――私が日本語を始めた時は他の人よりも遅い方なので、最初は日本語をちゃんと話すことができるか少し不安でした。でも、予想以上に日本語を話すことができるようになっていて自分でも驚いています。日本に来たばかりの頃は日本語を聞き取ることも難しかったのですが、今は最初の頃よりも日本語を聞き取ることができているので、成長できていると思います。

これからの将来にどう活かしていきたいですか。

――今回の留学で、たくさん日本語で会話して、日本語の実力をつけて、将来は日本に係る空港の職員として働いていきたいです。

※1 国際オフィスアシスタントは、外国人留学生のキャンパスライフサポートや、海外留学・国際関係イベントなどの交流行事に携わります。

『困難の先で得たもの ~全国障害者スポーツ大会~』

社会学部 健康・スポーツ科学メジャー/科学教育マイナー 菰渕大城さん

香川県立盲学校出身。

香川県での予選会を経て、第22回全国障害者スポーツ大会に香川県代表選手として出場し、水泳男子(視覚)50m平泳ぎで優勝を飾った菰渕さん。
中学・高校での大会出場経験のおかげで大会慣れしていたため、当日は落ち着いて競技に臨めたといいます。
しかし、今回の全国大会出場までの道のりは平坦ではありませんでした。
高校一年の冬、中心部分の視野が欠ける(中心暗点)視覚障害を発症し、パラ水泳を始めて3年。
コロナ禍での大会中止やパニック障害などの困難を乗り越え、前を向いて努力を続けている菰渕さんにお話を聞いてみました。

パラ水泳をはじめたきっかけを教えてください。

――元々、地元のスイミングスクールで5~12歳まで競泳をやっていましたが、中学進学を機に一度水泳からは離れました。中学ではフェンシング、高校ではラグビーをやって、どちらのスポーツでも全国大会などの大きな大会に出場していました。しかし、高校一年の冬から視力が落ち始め、主治医の先生に難病指定されてラグビーを辞めざるを得なくなりました。そんな時、高校の先生から僕と同じように難病指定を受けてパラ陸上のやり投げで活躍している先輩を紹介していただき、パラ水泳の話を聞くことができました。タッピングバーなど視覚障害のための器具があるということを聞いて、パラ水泳であれば大きなハンデを考えずに始められるかもしれないと思い、始めました。

実際にパラ水泳をはじめてみてどうですか?

――視覚障害者になって、久しぶりに飛び込み台からスタートするクラウチングスタートで構えた時、水面との距離がまったく分からないことにすごくハンデを感じました。体がこわばって腰が引けてしまい、飛距離が出ず、なかなかクラウチングスタートから入水までのフォームを改善するのに時間がかかりました。今でも改善する点が多くあるのですが、パラ水泳を始めて3年経ってようやく膝が曲がってしまうのはなくなって、飛び込めるようになりました。僕は短距離をメインでやっているのですが、スタートで勝負が決まるといっても過言ではないので、これからもどんどん極めていきたいです。今は、オリンピックの日本記録保持者の選手の動画と見比べて、できるだけフォームを近づけられるようにコーチからアドバイスをもらいながら練習に取り組んでいます。

 

大会に参加してみてどうでしたか?

――僕は日本選手権や国際大会などの大きな大会を目指しているので、正直に言うと全国障害者スポーツ大会は登竜門だと思っていました。でも、いざ会場に入ってみると、すごく大きな電光掲示板があったり、アドレナリンが出るような音楽が大音量で流れていたり、招集所や会場の雰囲気なども活気があって、テレビで見ていた日本選手権や国際大会などに近いものを感じました。出場する選手たちも予選を勝ち抜いた猛者が集まっているし、同じ障害を持つ選手と「頑張ろう」と声をかけあって、気持ちを高めることができました。それに、2019年から大会が中止になり、今回が4年越しの開催だったのでみんな熱が入っていました。

優勝した時はどんな気持ちでしたか?

――自己ベストを2秒近く更新していたので、最初は喜びよりも驚きの方が勝っていました。僕は自分で電光掲示板のタイムを見ることができません。審判の方から記録が38秒26だと聞いた時は、すぐには信じられませんでした。表彰式でメダルやヴィクトリーブーケをもらった時、コロナで様々な大会が中止になり、去年はコンディションが良かったのに大会が中止になって精神的に落ち込んでパニック障害になり、一度は水泳から離れていたことなど、この大会に出場するまでの順風満帆ではなかった過去を思い出しました。表彰台では泣きませんでしたが、更衣室に戻った時に感極まって泣いてしまいました。やっぱりとんとん拍子にここまできたわけではないので、スランプがあって勝ち取った今回の優勝には重みを感じています。

 

出場までに様々な困難があったと思いますが、どうやって乗り越えてきましたか?

――去年は週8で練習をしていて、コンディションも良かったのにコロナで大会がどんどん中止になっていき、大会で記録を残すために肉体的にも精神的にも自分を追い込んでいた分、「何のためにこんな厳しい練習しているのか」という思いが強くなり、パニック障害になりました。その時は、乗り越えたというよりも、一度忘れたくて離れました。それでもし水泳に対する未練がなければ別のことを始めようと思っていました。中学の時のフェンシングや高校の時のラグビーでは大きな大会に出場したことがありますが、水泳では特に何の実績を残せていなかったこともあり、しばらく水泳を離れているうちにだんだんともう一度水泳をやりたいという思いが湧いてきました。一旦水泳から離れて、落ち着いて考える時間ができたことがよかったのだと思います。
約半年のブランクがあったので、今回はようやく大会に出場して公式記録を残せるということだけでも感激でした。それだけでなく、自己ベストを更新して優勝することができたので、今後のパラ水泳に対するモチベーションも上がりましたし、また頑張ろうと思えました。

  

大学の授業はどのように受けていますか?

――僕の視覚障害は中心暗点で、真ん中が全く見えず、端にいくにつれて少しずつ見えてくる病気です。だから、文字を見るというのがけっこうしんどいです。最前列に行っても黒板やスクリーンが全く見えないので、タブレット端末を使って写真を撮り、ピンチアップして大きくして見るようにしています。また、先生の言葉をパソコンに入力して授業を受けるようにしています。一年生の頃はアテンダントに甘えていた部分があったので、今は自分で効率的に勉強できる方法を探しています。
授業ではアテンダントサービスを利用することもありますが、パソコンスキルを上げるためにも、分からなかったことは自分で聞きに行ったり、困ったら自分から頼みに行くようにしようと決めて、今はできるだけ自分の力でやるようにしています。

健康・スポーツ科学メジャーの授業が練習に活かされているなと思うことはありますか?

――たくさんあります。例えば、「スポーツと栄養学」の授業ではスポーツのパフォーマンスを上げるノウハウを知ることができましたし、「トレーニング論」では効率的なトレーニング方法を学ぶことができて、水泳をやる上でとても役に立っています。
運動の前後に筋分解を抑えるために必須アミノ酸サプリを摂取したり、自分が普段食べている野菜では摂取できないビタミンをマルチビタミンなどのサプリで補うようにしたり。「スポーツと栄養学」の授業をきっかけに食事の面で気を遣うようになりました。去年はコンビニ飯ばかりで胃腸の調子を崩しがちでした。でも、食事の栄養に気を付けるようになって、体の調子だけでなく精神的にも落ち着いていると思います。家族や友人のサポートのおかげもありますが、栄養バランスの良い食事のおかげでパニック障害の症状も少し良くなってきました。練習頻度は以前よりも少ない週2なのに、前よりも体をスムーズに動かせるようになったので、そのおかげで自己ベストを更新できたのかなとも思っています。

これからの目標を教えてください。

――来年5月に日本選手権の予選があります。僕は、100mバタフライと100m平泳ぎにエントリーする予定なので、日本選手権の派遣標準記録をとって大会に出場することです。今後の大きな目標としては、パリとロサンゼルスのパラリンピックに出場することです。

同じように中途障害を持って悩む人へメッセージがあればお願いします。

――僕は元々アウトドア派で自転車に乗っていろんなところに出かけることが好きでした。視覚障害者になって、友人が運転免許を取って車に乗っているのを見て、「僕はどうして車を運転することができないのだろう」「自分はどうして障害を持ってしまったのだろう」とできないことに目を向けてしまっていました。でも、できないことに目を向けるのではなくて、パラリンピックのように、視覚障害であればタッチする時に壁にぶつからないようにタッピングバーを使うなど、その人の障害に適応した器具やサポートなどで工夫をすれば、障害を持っていてもフェアに競技に挑むことができます。パラ水泳を始めて、できないことに目を向けるのではなく、できることもたくさんあるんだということに気づくことができて、ようやく障害を“個性”だと思えるようになりました。最近は見えないことを強みにしています。視覚障害者だったからこそ、全国大会という大きな舞台で優勝することができたので、障害を負ってからもメリットはあると思います。最初はすぐにそういう風に思えなくても時間が解決してくれるし、障害が長所になることもあるので、少しずつでも自分のことを見つめ直していってほしいと思います。


【関連リンク】

第22回全国障害者スポーツ大会にて本学学生が入賞しました。

健康スポーツ・科学メジャー

障害者支援

『夢を実現するための学び』

本井 希実 さん

学校教育メジャー専攻。
香川県立高松西高等学校出身。

大学での学びは、授業だけでなく、ボランティアや大学祭、サークルなど、様々な場所にあります。小学校教諭になる夢を叶えるために、どのような学びに取り組んでいるのでしょうか?

 

大学ではどのようなことに取り組んでいますか?

――教員免許取得を目指し、授業やPMカフェの活動に取り組んでいます。入学後から、家庭教師のアルバイトも続けていて、それぞれの生徒の理解度を確認すること、学生という視点から教えることで質問しやすい雰囲気をつくることを意識しています。生徒にも恵まれていて、分からないことは「分からない」と素直に教えてくれるので、スムーズに指導することができます。あとは、ピア・リーダーとしても、活動しています!特に、大学2年生のときに携わった大学祭の運営が印象に残っています。

大学祭の運営に携わろうと思ったきっかけは?また、大学祭実行委員会の仕事とは?

――ピア・リーダーの先輩にすすめられたこと、大学では資格取得以外にも何か取り組もうと思っていたことがきっかけです。「フェスタ・プラクティカム」という授業の中で、大学祭の準備を進めていきます。実行委員会は3つの部局に分かれて活動します。屋台やイベントを運営する「企画部」、パンフレット作成やSNS等の更新を行う「広報部」、出店する団体の情報を集め、外部業者との調整を行う「管理部」の3つです。私は管理部に所属し、リース会社からの備品の搬入や、テントの設営、主に裏方の仕事を担当しました。途中からは、管理部のリーダーになり、思っていたよりも大変なことばかりでした。自分一人でできる範囲は限られているため、メンバーと協力して動くことが本当に大切だと感じました。実行委員を経験して、周りへの上手な仕事の頼み方ができるようになったと思います。どうすれば気持ちよく仕事を引き受けてもらえるか、「がんばろう」と思ってもらえるのか。リーダーになってから、そこを考えるようになりました。

四国学院大学へ進学した理由を教えてください。

――小学校教諭の免許が取得できるからです。実は他に行きたい大学があったのですが、第一志望の大学が不合格だったので、四国学院大学へ進学しました。現役の小学校の先生や親からは「四国学院大学の卒業生で教員になっている人はたくさんいるし、歴史のある大学だから」と勧められたものの、やはり気持ちは晴れずに学生生活を送っていました。そのような私の考え方を変えてくれたのは、友人との出会いでした。ピア・リーダーとしてともに活動する友人や、学校教育メジャーで同じ夢を持つ友人に恵まれ、充実した大学生活を送っています。また、私が受けている授業は、模擬授業をしたり、ディスカッションをしたりと、実践的なものが多く、学ぶことがたくさんあります。学べる環境は整っているので、あとは自分次第なんだと気付きました。

将来の夢は?

――地元である香川で小学校教員になることです。小学生の頃から、毎日学校に通うことが楽しく、学校は居心地の良い場所だと感じていました。それは先生が、一人ひとりをよく見てくれ、寄り添ってくれていたからだと思います。お世話になった先生方が目指す教師像。これからもさまざまな経験を積み、子どもの気持ちに寄り添える教員になりたいです。

 

『様々な体験を通して~日本での留学~』

文学部人文学科 林姿縈(リン シエイ)さん
中華大学(台湾)

小さい頃から日本に行ってみたいという思いを持ち、2022年9月から台湾の中華大学より本学へ留学している林さん。
林さんは本学でどのようなことを学び、体験しているのでしょうか。
本学での留学生活について話を聞いてみました。

日本に留学しようと思った理由を教えてください。

――私は、日本のドラマが好きで、小さい頃から日本に行ってみたいと思っていました。でも、なかなか日本に行く機会がありませんでした。大学に入学して、先生と一緒に勉強を頑張り、ようやく日本に留学する機会を得ることができました。この機会に、日本のいろんな場所に行ってみたいです!

四国学院大学の印象を教えてください。

――台湾にいた時から四国学院大学のことを調べていて、とてもいい大学だなというイメージを持っていました。初めて日本に来て緊張していましたが、イメージ通り環境もいいし、みんなが優しくて安心しました。四国学院大学に留学できてよかったです。

マグノリア学寮での生活はどうですか?

――台湾の寮と違うなと感じました。マグノリア学寮では、みんなで掃除番をしたり、ミーティングをしたりしています。中華大学ではあまりそういうことはしないので、日本の大学の寮生活を知ることができてよかったです。それに、分からないことがあったら助けてくれる友達もできました。

中華大学と本学で違いを感じたのはどんな時ですか。

――授業時間や時間割が違っていたので最初は一日の時間の違いに戸惑いましたが、今は慣れてきました。また、食堂も中華大学とは違っています。中華大学はいろんなお店が集まっていて、自分が好きなお店を選んで注文しますが、四国学院大学(カフェテリアコイノス)は、みんな同じ場所で、食券を購入して食べます。食堂のメニューはどれも美味しいです。

印象に残っている授業について教えて下さい。

――「教育実践と舞台芸術Ⅲ」と「日本語の音」の授業です。
演劇の授業は、発声練習をしたり、みんなで一緒に稽古をしたり、とても面白いです。台本を読む時、日本語のアクセントが難しいので、一生懸命練習しています。日本語が難しい時もありますが、演劇を通してみんなでコミュニケーションもできて楽しいです。人前で話すことにも最初は緊張していましたが、みんなで練習しているうちにだんだんと「いけるかも!」と思えるようになりました。
「日本語の音」では、日本語を話すときに口の中でどうやって発音しているのかを学んでいます。中国語とは発音の仕方が違うので、やっぱり難しいです。覚えないといけないことも多いので、頑張って勉強しています。

日本に来て驚いたことはありますか。

――「日本事情」の授業では、留学生のみんなと橋本先生と一緒に四国各地に行きます。その時の移動手段として、初めて特急列車に乗りました。台湾では特急列車でも1枚の切符で乗ることができるので、同じように特急券1枚を改札に入れようとしたのですが、改札が通れなくてびっくりしました。日本だと特急券と乗車券の2枚必要なのだということをその時初めて知りました。

「日本事情」で訪れた印象に残っている場所はどこですか。

――最近では、琴平町のこんぴらさんに行ったことが印象に残っています。みんなで一緒に長い階段を一番上まで上って、疲れたけどとてもいい景色も見られてとてもよかったです。たくさんのお店もあって楽しかったです。私は、かき氷を食べました。

 

国際オフィスアシスタント(※1)の学生とはどんなことをしていますか?

――食事を一緒にとったり、香川県のあちこちに連れて行ってもらったり、勉強会などをしたりしています。一緒に活動をする中で、たくさん日本のことを教えてくれて楽しいです。

本学でチャレンジしていることや体験していることはありますか?

――キャンパス内のクリスマス・イルミネーションの準備に参加したり、吹奏楽部の体験をしたり、授業の他にもいろいろなことをやっています。イルミネーションの準備は、みんなで一緒に飾り付けをするのが楽しいです。イルミネーションの点灯式が待ち遠しいです。吹奏楽部では、台湾でトランペットをしていたので、他の楽器にもチャレンジしたいと思って、ホルンを吹きました。トランペットよりも少し難しかったですが、とても楽しかったです。

 

本学で学びたかったことは学べていますか?

――私は大河ドラマの影響で日本の歴史に興味があって、勉強したいと思っていました。橋本先生の「日本事情」では、色々な場所に行って、その土地の歴史などを学ぶことができます。自分の学びたかったことが学べていて、楽しいです。冬休みになったら、京都の清水寺に行きたいと思っています。

これからの将来にどう活かしていきたいですか?

――「日本語の音」などの授業を受けていて、日本語教員に興味を持ちました。中華大学での授業とは内容が全然違っていて、色々なことを学ぶことができています。難しいことも多いけど、とても面白いです。それに、日本語での会話は、やっぱり直接日本で学ぶ方が話せるようになると思うので、留学中にたくさん話せるように頑張りたいです。
日本での留学を終えたら、台湾で大学院に進学して、さらに日本語の勉強をしたいと思っています。


※1 国際オフィスアシスタントは、外国人留学生のキャンパスライフサポートや、海外留学・国際関係イベントなどの交流行事に携わります。

■留学プログラム

■国際文化・マネジメントメジャー

『科学を楽しく学ぶこと ~科学の目でものを見る~』

文学部 学校教育メジャー 池田 良さん
高松東高等学校出身。

「自然科学に対する興味・関心はどの様に生ずるか?あるいは失われるか?」
「身近なものを科学の目で見る一般的な方法とは何か?」
といった自然科学に関する“問い”を追求する、マグノリア・カフェ「科学の目でものを見る」。
元々理科が好きで、教員を目指す上でも活用できると考え、マグノリア・カフェ「科学の目でものを見る」に入った池田さん。
マグノリア・カフェ「科学の目でものを見る」での探究活動で、どのような気づきを得たのでしょうか。

マグノリア・カフェ「科学の目でものを見る」ではどんなことをしていますか。


――植物やホタルの観察、天体観測、ピタゴラスイッチの作製など、主に自然科学に関する探究活動をしています。活動の際は、先生が自然科学的視点で資料やパンフレットなどを作成してくれるので、とても分かりやすいです。
野外での植物観察では、学内の4号館・5号館裏、喫煙所付近、図書館裏などに生えているスイバの雄と雌を調べる、ということをしました。雄と雌の数を調べて、スイバの雄雌や生態の環境の違いを調査したり、実際にルーペを使って観察しました。
ピタゴラについては10月中旬に実施される文化祭までに作製したいという話にはなっているのですが、今はまだ各自が構想を練っているところで、8月頃から試作する予定です。ピタゴラは簡単そうに見えてすごく難しいなと痛感しています。実際に組み立てて動くのか?ということが分からないので、自身で試行錯誤を重ねたり、先生にアドバイスをもらいながら形にしていきたいなと思います。
また今後、まんのう町にある天文台に星の観察に行こうという話も出ているので、楽しみです。

活動を通して、新しい発見や気づきはありましたか。

――小さい頃にも植物の観察をしたり、ピタゴラをテレビで見たりしていました。でもやっぱり同じことをしていても、年齢を重ねて、知識も入ってくることによって、違う見方ができるようになり、面白さは増しているように感じます。例えば、桜の見分け方とかって、何となく分かっているけど、実際どう見分けるのかは分からなかったんですよね。でも、先生が「桜の枝は全部横縞になっているから横縞桜で覚えたらいよ」とか、桜の花弁の枚数などについてもマグノリア・カフェの活動の中で教えてくれたので、よりはっきりと見分けられるようになりました。それに、今までは単なる雑草や木だと思っていたものが、実は意味があってそこに置かれているのだということもこの活動で知りました。何のためにそこに咲いていて、どういう意図で整備されているのか、という理由も教えてもらえたので、ただ植物観察するだけでなく、植物の位置や存在そのものに意味があるということを知ることができたので面白かったです。例えば、学内の正門付近に大きな木が横並びに生えているのは、正面から写真を撮る時に見栄えが良いようにしているからだそうです。学内の自動販売機売り場の近くに生えている草も、雑草だと思っていたんですが、実はあの草が太陽の光を遮ることによって雑草対策になっていた、ということを知って驚きました。あとは、目隠しのために壁の塀を植物にしている家などには、冬場になって葉が落ちてスケスケにならないように一年中葉を咲かせる常緑樹を使っているとか。学内を探索しながらそういったことを教えてくれるので、新しいことを知れたり、新たな発見があり、楽しかったです。

マグノリア・カフェ「科学の目でものを見る」の問いに対して、自分なりにどう考えていますか。


――身近なものを科学の目でみるとはどういうことなのかを考えた時、ピタゴラなどは特にそれが当てはまるんじゃないかなと思います。小さい頃に見るピタゴラスイッチって、ただなんかすごいなとか、面白いなという目だけで見ると思うんですけど、実際に科学を学んだ大人が見てみると、この装置の裏はこういう風な造りになっているのかなとか、こういう繋がりがあって一つの装置ができているのかなとか、どういう原理を利用して動いているのかといった視点で見ることができると思います。そういう機械の内面や仕組みまで見ることができるかどうかが、“科学の目で見る”ということではないかなと考えています。ただ玉が装置の上を転がっていくのをすごいなぁと思って見るのではなく、どうやって再現性を出して同じようにつくれるのか、ということを考えるのが科学ではないでしょうか。計算式や物理の法則などは、科学への苦手意識を持つポイントだと思うんですけど、ピタゴラはそれを楽しく学んでいく方法のひとつなのかなと思います。僕自身、物理学は苦手なんですけど、実際にピタゴラを作りながら分からないところを教えてもらうと、「あぁこういうことか」と体験しながら学べるので楽しいです。

活動を通して、科学に対する意識に変化はありましたか。

――植物をみんなで調べた時に、何故そこにあるのか、ということを学んだりしたので、景観や風景一つとっても何か意味があるのかなとか、道端に生えている草木にも意味があるのかなとか、機械を見てもどういう造りになっているのかなと物事の本質を考えるようになりました。科学は身近にあるんだ、ということを実感しているところです。

マグノリア・カフェ「科学の目でものを見る」に入ってよかったと思うことを教えてください。

――教育実習に行った時、実習先の小学校にちょうど桜の木があったので、早速桜の見分け方を教えたんです。そうすると、小学生たちがみんな「すごーい!」と喜んでくれて、僕も嬉しかったです。小学生は校内を探検するのが好きなので、校内を探検しながら植物がそこにある意味などを授業と結びつけて教えてあげたら、すごく楽しく授業ができるんじゃないかなと感じた瞬間でした。このマグノリア・カフェで学んだことがちゃんと身について実践できたので、入っていてよかったなと思います。
これからもマグノリア・カフェでの活動でいろんな知識や発見をしていけば、教職の現場でも使えるはずなので、どんどん身に付けていきたいですね。

マグノリア・カフェ「科学の目でものを見る」での経験を将来にどう活かしていきたいですか。

――教職では、理科の授業でマグノリア・カフェで学んだことを活かしていきたいです。今回制作するピタゴラの動画を授業で流すことも面白いと思うし、植物や天体の知識なども授業の中で児童に説明することができるというのは、自分にとっても大きな力や財産になりました。自分が父親になった時にも子どもに教えてあげたら楽しいなと思いますし、将来、教職だけじゃなくて、いろんな場面で使っていきたいです。

マグノリア・カフェ「科学の目でものを見る」に興味がある方へ

――科学の専門家・研究者が近くにいて、実際に体験して教えてもらいながら理科や科学を学ぶのは、小中の理科とは違って、自分の知りたいことを奥深くまで追求できる良い環境ではないでしょうか。理科が好きで入るのもいいし、ピタゴラが面白そうというだけでもいいと思うし、楽しみ方は色々あります。理科に興味があるなしに関わらず、誰でも入れる敷居の低いマグノリア・カフェだと思います。


◆マグノリア・カフェとは
正規のカリキュラムを補強しながら行う、自主講座、自主セミナー、自主ワークショップ等の課外活動です。教員と学生が会食をし、交流を行いながら学んでいきます。

『当事者の人生に寄り添う ~演劇×社会福祉の公演を通して~』


社会学部 身体表現と舞台芸術メジャー 中越唯菜 さん
高知県立梼原高等学校出身。

NPO法人SAJA就労継続支援B型事業所たんぽぽ(※1)(以下「たんぽぽ」という。)と本学学生とで創作に取り組んだ、
四国学院大学社会学部プロジェクト演劇公演『ダンデライオンズ』。
(脚本・演出:仙石桂子 振付:白神ももこ(モモンガ・コンプレックス))
たんぽぽのメンバー3名の人生について話を聞き、3つの短編作品が上演されました。
『柿沼さんのお話』で近藤(ケースワーカー)、相馬(たんぽぽスタッフ)の2役を演じた中越さん。
なかでも相馬は、主人公・柿沼にとって重要な役どころでした。
当事者の方と一緒に作り上げていくという新たな試みの中で、どのようなことを感じ、演じていたのでしょうか。

今回の作品は「社会福祉と演劇ワークショップ」(※2)という授業で創作に取り組んでいます。中越さんは2021年度に履修していますが、履修しようと思った理由を教えてください。

――元々、母と祖母が介護福祉士をしていて、福祉が自分の中で密接にありました。四国学院大学に入学したのも、メジャー制度を活かして、演劇だけではなく、福祉などの勉強もしたいと思ったからです。でも、演劇に集中してしまって、なかなか福祉の授業が取れずにいました。そんな時に、「社会福祉と演劇ワークショップ」という授業が新設されて、ようやく自分が学びたかった社会福祉と演劇が一緒に学べると思い、嬉々として受けました。

「社会福祉と演劇ワークショップ」の授業ではどのようなことをしましたか?(2021年度の授業内容)

――授業では、仙石先生が各地で行っていたワークショップを体験しました。授業の最終目的は、自分たちでワークショップの進行役(ファシリテーター)ができるようになることでした。そのために、どういう人を対象に、どんなことをやりたいか、ということを自分たちで考えて実際にワークショップをやりました。二人組でペアになってやったんですけど、私は対象者を何歳とか、障害を持った方などの制限をかけずにどんな人でも関わって一緒にやれるワークショップをやってみたいと思い、簡単なジェスチャーゲームのようなワークショップを考えました。ジェスチャーゲームだったら年齢関係なく、いろんな人と交流しながらできるかなと思ったからです。言葉を使わないジェスチャーゲーム、人間彫刻など、ゲーム感覚のワークショップを企画しました。実際に企画してみて、自分たちが思っていた以上に、人に説明するのが難しいなと思いました。やったことがある人にはすぐ伝わるけど、やったことがない人に的確に伝えるにはどうすればいいんだろう?ということは授業の中ですごく悩みました。自分たちの当たり前で話をしないこと、その人の目線に立って考えること、自分たちの反対側から見ることを意識することが大事なんだと改めて気づきました。

たんぽぽの方との交流や稽古はどうでしたか?

――私は仙石先生が台本をおこすためにたんぽぽへインタビューに行く時、一緒に連れていってもらったことがあります。勝手な偏見で対話が難しいのかなって思っていたんですけど、全然そんなことはなくて、自分が今やっていることをすごく楽しそうに教えてくださって、とても生き生きとしていて、生命力にあふれているように感じました。当時の自分にそこまでの生き生きしたものがなかったので、素敵だなと思ったことを覚えています。
 最初は身構えすぎていました。でも、皆さん私たちと同じ今を生きる方たちで全然変わらないなと思いました。むしろ実際にいろんな経験をされているからこそ、私たちが学ばせてもらうことの方が多かったです。たんぽぽの皆さんにとっては初めての演劇なのに、しっかり向き合ってくださっていて、ゲネプロ前の稽古の時は学生の私たちよりたんぽぽの皆さんの方が仕上がっていて、焦るくらいでした。それぐらい真剣に一緒にやってくださったという事実がすごく嬉しかったです。障害があるとかそういうのを抜きにして、人と人としての対応や対話ができたんじゃないかなと稽古を通して思いました。
伝え方という点では、たんぽぽの方は初めて演劇を行うので「この時はこうしたらいいですよ」とちょっとしたサポートをさせてもらったことがあります。説明の仕方や対話をする時、どの視点で一緒に考えればいいのか、ということは授業で学んだことが活かせたと思います。

演じた役はどんな役ですか? また、役作りで工夫したことを教えてください。

――私が演じた相馬さんは、『柿沼さんのお話』の当事者の方から、人生や考え方、人との接し方を変える一因になった人だということを聞いて、私に務まるのかな!?と最初は不安でした。シーン的には長くはないのですが、直前にバイオレンスなシーンが多く、そんな柿沼さんの気持ちや考え方を変えられたくらい明るい人、ということで常ににこにこしていた人だったのかなと想像しながら役作りをしていました。私自身明るい性格なので、自分の明るい部分を全面に出して演じました。相馬さんは私自身に近いところもあるし、常に明るくてニコニコしていて、周りのことも気にかけている、私の憧れの人物像に近い役でした。
相馬さんが出てくる最後のシーンは、相馬さんが柿沼さんに相談みたいな形で喋るということしか決まっていなくて、仙石先生には「アドリブでよろしく」といわれていました。でも私はインプロが本当に苦手で、うまく頭が回らないこともあったんですけど、喋ることは苦手じゃないので、自分の思いついた彼氏の愚痴っぽいことをバンバン言ってみようと決めて、ずっと試行錯誤していました。直前にこれで固定しよう、というのが決まってよかったです。あのシーンは無口だった柿沼さんがハハっと笑う感じで終わりたいという結末は決まっていたので、どうやったら柿沼さんが笑ってくれるような話ができるかな、と考えて、同期や友達にたくさん話を聞いて決めたので、本当に周りの人に助けられました。

当事者の方と創作するというのは初めての試みですが、やってみてどうでしたか?

――当事者の方がいるということに、やっぱり緊張はありました。特に主役の子たちはそれが強かったと思います。
当事者の方から話を聞く上で、自分の中で人物像や想像を膨らませて、自分の創る「○○さん」をみんな演じていたと思います。やっていく中で「ここどうですか?」とか色々と聞いている人も多かったです。
当事者の方自身が一緒に出て作品を創る、ということが初めてだったので、今までの演劇作品とは作品への向き合い方が違ったと思います。台本をいただいて、その中で切り詰めていくのではなく、今回はその台本を通して、その方の人生に寄り添わせていただく気持ちに近かったです。

一人の人生を演劇で表現することの意味をどう感じましたか?

――話で聞くよりもその方の人生を近くで見ることができました。話だけ聞いていると重いし、どうしても理解できないこともあると思うんですけど、演劇を通して第三者として、一歩引いてみることができます。私たちは演者だから、第三者だけどその方の一番近くで寄り添えるというのがすごく大きかったです。すごい体験をさせてもらっているんだなということは稽古する度に思っていました。

今回の作品に参加できてよかったことを教えてください。

――普段関われない方と一緒に関わってひとつの作品を創れたというのはすごく嬉しかったです。演劇コースにいると、演劇コースの人以外と関わる機会が少ないんですけど、今回はたんぽぽの方や卒業生の先輩方、劇団の方といった様々な方と一緒に作品を創れたので、そういう機会を与えていただけたというのは自分の人生にとっても大きな影響を与える作品になったと思います。

これからの将来にどう活かしていきたいですか。

――今回の作品に参加したことで、将来の選択肢のひとつとして、自分の地元で福祉と演劇を繋げる仕事をするのもいいなと思うようになりました。私の地元は田舎なので、孤独な方や援助が必要な方が多くいます。そういった方たちの対話のきっかけになる機会に演劇がなれるのであれば、そういうことを活かした職業もいいなと思っています。

演劇コースに興味がある方へアドバイスやメッセージがあればお願いします。

――4年間って長いようであっという間です。私も4年生になって、あれもやっておけばよかった!と思うことがあって、少なからず後悔もあります。だから、少しでも興味があるならまずは挑戦してみてください。いつかその経験が役に立つ日がくるので、やりたいと思うことを恥ずかしがらずに、やりたいことをやっていってほしいと思います。


四国学院大学社会学部プロジェクト演劇公演『ダンデライオンズ』(ノトススタジオHP/イベントレポート)

※1  「NPO法人SAJA就労継続支援B型事業所たんぽぽ」とは
前身は、1990年に精神障害者家族、支援者、市民等の協働によって開設された精神障害者共同作業所「たんぽぽ」。その後、移転や制度改変による存続の危機を乗り越えて、2006年にNPO法人化。2008年から就労継続支援B型事業所として利用者の生活支援、就労支援ならびに地域福祉活動を展開。駄菓子屋店舗運営、施設外就労、クッキーの製造販売、手芸品の制作等の他、クラブハウスや地域交流活動、研修会の開催、当事者研究ミーティング等を実施。「誰もが人生の主人公」をモットーに活動中。

※2 「社会福祉と演劇ワークショップ」
2021年度より新設された演劇ワークショップ実践マイナーの授業のひとつ。
演劇を活用したワークショップを体験し、深く考察し、その効果・方法について体系的、実践的に学んでいます。

『身構えることなく、人と関わること ~演劇×社会福祉の公演を通して~』


社会学部 身体表現と舞台芸術メジャー 桑原日和 さん
大谷高等学校出身。

NPO法人SAJA就労継続支援B型事業所たんぽぽ(※1)(以下「たんぽぽ」という。)と本学学生とで創作に取り組んだ、
四国学院大学社会学部プロジェクト演劇公演『ダンデライオンズ』。
(脚本・演出:仙石桂子 振付:白神ももこ(モモンガ・コンプレックス))
たんぽぽのメンバー3名の人生について話を聞いて、3つの短編作品が創作されました。
『後藤さんのお話』で主人公の後藤桐子を演じた桑原さん。
当事者の方と一緒に作り上げていくという新たな試みの中で、どのようなことを感じ、演じていたのでしょうか。

今回の作品は、「社会福祉と演劇ワークショップ」(※2)という授業の中で創作に取り組んでいますが、授業ではどのようなことをしましたか?

――はじめに当事者研究(※3)をしました。まずは、自分たちの中にある困っていることや抱えているものをみんなで話して、発表します。その中で特に気になる悩みをピックアップして、それを絵にしたり、悩みを書き出していったり、「こういう悩みを持っている子がいるなら、どう付き合ってくのか?」ということをみんなで考えていきました。当事者研究を経験してみて、人に話したことがないことを話すことで、自分の中で整理できたことや、自分ってこういうところがあったんだという気づきがありました。それに、他の人の話を聞いていると、自分と似ている悩みもあったので、「自分だけじゃないんだ」と安心できました。
当事者研究の後、たんぽぽがどういうところなのかを教えてもらってから、創作をスタートしました。

たんぽぽの方との交流や稽古はどうでしたか?

――はじめは人見知りもあって身構えていたんですが、みんな優しい方ばかりで、当事者の方も「なんでも聞いて!」と言ってくれて、すごく聞きやすかったです。錯乱した時の状況とか、自殺を考えた時はどういう気持ちだったのかとか、本当は聞かれたくないこともあったと思うんですが、色々なことを教えてくれました。話していくうちに、食べることが好きだったり、私の出身地である大阪にいたことがあったり、色々な共通点があることが分かって、とても楽しかったです。
最初は仙石先生がインタビューして書いた台本ですが、私たち学生が当事者の方と話す中で「ここ本当はこうらしいですよ」と仙石先生に伝えることで書き換えられた場面やセリフもあって、それぐらいお互いの距離が近くて、たくさんお話をしながら作っていきました。いつもだったら人見知りだし、知っている先生に聞きに行こうとしていたかもしれないんですけど、今回は当事者の方に聞こう、交流を深めようという気持ちがありました。
みんなで頑張ろうという稽古場の雰囲気もよかったです。

主人公の後藤桐子は、桑原さんにとってどのような役ですか。

――自分のことを見つめ直せる役でした。仙石先生に「あなたにすごい似てる」と言われていて、最初は分からなかったんですけど、やっているうちに自分でも「似てる!」と思うようになりました。私自身も人に話しかけるのは緊張するタイプなので、後藤さんを演じながら「分かる、分かる」という場面もあって。自分のことは客観視できないけど、役になることによって、「こういう気持ちだったのかな」とか「こんなことされたら嫌だよね」と考えたり、周りから見た自分もこういう風にしてたらたしかに話しかけにくい時もあるよな、と気づけることもありました。
今まで自分のことをあまり見つめられていなかったので、この役を通して見つめ直すことができて、本当によかったです。

主人公の後藤桐子を演じる上で苦労したことや役作りで工夫したことなどを教えてください。

――やっぱり、当事者の方が近くにいるということは意識しました。本人の前で演じる訳ですから、いつも以上に細かいところまで考えましたし、役についてもちゃんと分かって演じなければならないというプレッシャーもありました。自分がなったことのない状態を演じることが多かったので、それがどういう感覚なのか、どういう気持ちだったのか、ということを自分の中で理解することに苦労しました。でも、モデルになった当事者の方がいるので、「こういう風に演じて大丈夫ですか?」と色々聞きながら役作りをしていきました。当事者の方がいることで難しい面もあったんですけど、どういう気持ちだったのかを想像するだけでなく本人に聞くこともできたので、自分の中で後藤桐子という役がどんどんクリアになっていったような気がします。

作品に参加してみて、自分の中で何か変化はありましたか。

――はじめは、たんぽぽの方がどんな人かも分からないし、自分がなったことのない状態を演じるということで怖がっていました。でも、やっていくうちに、もちろん当事者の方がいるということは違いますけど、いつもの稽古と同じで、何も怖がることはありませんでした。当事者の方と接する時も、会う前はすごく慎重に丁寧に繊細なところまで気を付けてお話したりしないといけないのかな、と思っていたんですけど、実際に会ってみたらそんなことを考えずにお話をしていて、すごく楽しかったです。友達のような気軽さで話していたので、すごい勘違いをしていたんだなと気づけました。普通の人と話す時と同じようなことに気を付けていれば、かたく身構える必要はないのだと分かりました。
今までは、自分が出会ったことのない人に距離をとってしまう方だったんですけど、“そういう人”というくくりで見るのではなく、1人ひとり違う人間だから、実際に会ってみないと分からないんだ、ということに改めて今回の作品が気づかせてくれました。今回の作品に参加したおかげで、どんな人か分からないのに怖がったり、身構えて距離を置くということがなくなりました。

私は元々、社会福祉に興味があって、関われたらいいなと思っていました。でも、自分にできるのかが不安でした。今回の作品で実際に当事者の方と関わったり、演劇を創作したりする中で、もっと前のめりにやってみてもいいんだなと思えるようになりました。社会福祉は特別なものではなく、身近なものなんだと考え方が変わったと思います。

今回の作品に参加できてよかったことを教えてください。

――元々人とたくさん関わるのが緊張してしまって苦手な方なのですが、今回の座組は約50人という大所帯でした。会ったことのないたんぽぽの方や卒業生の先輩、劇団の方に会うことに緊張していたのですが、会ってみたら意外と楽しかったです。いろんな人と関わるということは、いろんな人の考えや価値観に触れる機会がいっぱいあります。自分の中になかったものがたくさん入ってきて、見えなかったものが見えるようになりました。人と関わることが前よりも得意になった気がします。後藤桐子の話はけっこうみんなが舞台に出ずっぱりだったので、共演者との関わりは濃かったと思います。今までそんなにお互いのことを話したりしていなかった子とも、稽古をしていく中でもっと仲良くなれて、よかったです。
たんぽぽの方だけでなく、卒業生の先輩や劇団の方も一緒に参加していたので緊張もあったのですが、みんな優しくて、たくさん教えてもらえました。それに、演劇は1人では作れないので、誰と作るのかというのはとても大事だなということも改めて分かりました。だから今回、たんぽぽのメンバーさんも含めてすごくいい座組にめぐり逢えたなと思います。

これからの将来にどう活かしていきたいですか。

――演劇でいえば役への向き合い方、演技をどうやってしていくか、生活の中では人との関わり方、相手をどういう風にみるのか、という点が自分の中ですごく変わった作品でした。ここからもっと自分に合う演技の仕方とか、自分なりの役の解釈の仕方とか、もっと人と関わっていく上で見つけていけたらいいなと思っています。
私は、社会福祉にも演劇のワークショップにも元々興味があって、いつか社会福祉に演劇ワークショップを活用させたいなと個人的に思っていました。演劇の力ってすごくあると思うので、何か問題を抱えている子どもたちとか、もちろん大人もですけど、演劇ワークショップを使って楽しみながら問題解決ができないかと考えていた時に、今回の作品に参加しました。だから、「やっぱりできるんだ!」という感動もあって、これからも頑張りたいなと前向きな気持ちになりました。ゆくゆくは演劇の手法を用いて社会福祉に関するワークショップができるファシリテーターになれたらいいなと思っています。

演劇コースに興味がある方へ、アドバイスやメッセージがあればお願いします。

――演劇って、なくても生きていけるものなんだろうなと思うんですけど、なかったらすごく悲しいし、ないといけないものだと私は思っています。だから、演劇をしたいと思った時、見たいと思った時には、できるだけやった方がいいと思います。四国学院大学は作品を見る機会も多いし、演劇に関する授業もあるし、先輩や後輩もみんな仲が良くて、すごくいい環境だなと思っています。だから、迷っているなら一度来てみて欲しいです。スカラーシップ(奨学金)制度(※4)も充実しているし、先生たちも優しくて話を聞いてくれる人たちが多いので、演劇を始めやすいし続けやすい環境だと思います。


四国学院大学社会学部プロジェクト演劇公演『ダンデライオンズ』(ノトススタジオHP/イベントレポート)

※1  「NPO法人SAJA就労継続支援B型事業所たんぽぽ」とは
前身は、1990年に精神障害者家族、支援者、市民等の協働によって開設された精神障害者共同作業所「たんぽぽ」。その後、移転や制度改変による存続の危機を乗り越えて、2006年にNPO法人化。2008年から就労継続支援B型事業所として利用者の生活支援、就労支援ならびに地域福祉活動を展開。駄菓子屋店舗運営、施設外就労、クッキーの製造販売、手芸品の制作等の他、クラブハウスや地域交流活動、研修会の開催、当事者研究ミーティング等を実施。「誰もが人生の主人公」をモットーに活動中。

※2 「社会福祉と演劇ワークショップ」
2021年度より新設された演劇ワークショップ実践マイナーの授業のひとつ。
演劇を活用したワークショップを体験し、深く考察し、その効果・方法について体系的、実践的に学んでいます。

※3 当事者研究
精神障害を持ちながら暮らす中で見出した生きづらさ等を持ち寄り、仲間や関係者と一緒にその人に合った“自分の助け方”や理解を見出していこうとする研究。

※4 スカラーシップ(奨学金)制度
演劇コースに特化した返済不要の特別奨学金制度。詳細はこちらから。

『魅力を撮る楽しさ ~瀬戸芸2022カフェ~』


文学部 歴史学・地理学メジャー 髙石 紗奈さん
三島高等学校出身。
写真部部長。
瀬戸内国際芸術祭2022の作品展示を鑑賞し、ヴァーチャルな視覚表現と実在するモノとのパラドックスを「問う」マグノリア・カフェ“瀬戸芸2022カフェ”。
前回の瀬戸内国際芸術祭が開催された2019年、「次の機会があるなら3年後」だと担当の井上先生に言われていた髙石さん。
3年後の今回、瀬戸芸カフェに参加した感想などについて話を聞いてみました。

マグノリア・カフェについて
マグノリア・カフェ「瀬戸芸2022カフェ」ではどのようなことをしていますか。

――瀬戸内国際芸術祭は春・秋・冬の3会期あるので、瀬戸芸カフェで3回行く予定です。事前にどこに行きたいか、ミーティングをして計画を立てていきます。
 春会期を開催中だった5月のGWに、初めて瀬戸芸カフェで小豆島に行きました。事前に井上先生の方から「ここを見に行きたい」という提案があって、みんなと「ここなら行けるかな」とか、「この場所のここがいいかな」とか、それぞれ自分の見たい場所や意見を言い合って、決めました。小豆島は自然豊かな場所なので、その自然と融合したような作品を主に見ました。作品を見て感想を話したり、意見交換することで、視野を広げることができています。

実際に瀬戸内国際芸術祭に行ってみてどうでしたか?

――やっぱりすごかったですね。なかなかいろんな国の方の作品を一か所で見れる機会はないですし、島だからこそできることなのかなと思いました。中でも印象に残っている作品は、巨人が海の方を向いて座っている作品「ダイダラウルトラボウ」です。鉄と木と石という、古代からある材料だけでここまで大きな作品ができるのはすごいなと思いました。あと、民家をヤドカリの宿にしている作品もインパクトがあって印象に残っています。
 メンバーの中に、前回の瀬戸芸に参加した人がいたんですけど、やっぱり一度行っているからこそ分かるものもあるようです。例えば、前回からアレンジが加えられていたりして、同じ作品でも二回目では印象が違っていたり。私もまた行けば違った発見があるのかなと思って、よく見ておこうと思いました。
 今回行ったのは小豆島だけだったので、他の作品ももっと見てみたいなと思いました。次は男木島や直島に行けたらいいなと計画を立てています。

小豆島や作品の写真もたくさん撮れましたか?

――はい。私は、写真を撮るのが好きなので、フェリーに乗っている時からずっと写真を撮っていました。自然を撮っていく中で、そこにしかない魅力を写真で残せるってすごく素敵なことだなと改めて思いました。ちょうど今写真部でも行こうかという話も出ているので、今年入ってくれた新入部員にも写真を撮る楽しさや芸術作品を見る楽しさを知ってもらえるといいなと思います。次に瀬戸芸に行く時は、もっと写真の構図も練っていきたいです。

マグノリア・カフェ「瀬戸芸2022カフェ」に入ってよかったと思うことを教えてください。

――瀬戸内国際芸術祭になかなか自分から行こうとはならなかったと思うので、入ってよかったです。
 みんなで集まるミーティングもお茶会のような感じで楽しいですし、井上先生が博識で色々な視点で物事をみているので、新しい気づきがあって面白いです。そのおかげで、今までにない視点で物事を見られるようになったと思います。芸術作品に対しても、今までだったら見て「すごいな」と単純に思うだけだったんですけど、こういう構図で素材も考えて作っているんだなとか、目で見て全部が伝わってくる芸術作品を作ることはすごいなとか、どこがどうすごいのかを感じることができるようになったと思います。それに、改めて芸術作品が人に訴えかける力はすごいことを実感しました。

実際に現地に行ってみて、マグノリア・カフェ「瀬戸芸2022カフェ」が掲げる”問い”について、どのような考えを持ちましたか?

――瀬戸内国際芸術祭の魅力は、都市には無い地方の個性と魅力ある文化が残っている瀬戸内海で、閉鎖性海域の特徴である気候が穏やかで自然に恵まれた島々と、そこで暮らす人々と現代アートの融合であると考えています。今回初めて現地に足を運び、作品と出会い作品に直接触れたことで、それまで作品に抱いていたイメージとは違った感情や思いが込み上げてきました。映像で見る現代アートと、物理的に目の前に存在するリアルな世界との違いを肌で感じることができたと思います。

マグノリア・カフェ「瀬戸芸2022カフェ」に興味がある方へメッセージがあればお願いします。

――瀬戸内国際芸術祭に行ける機会が3年に1回しかないということもあって、普段体験できないことを体験したり、学生の今しかできないこともあると思うので、ぜひ興味がある方は瀬戸芸カフェに入ってもらえればいいかなと思います。瀬戸内の素敵な景色をたくさん写真に収めることもできますよ!

本学での学びについて
本学への入学の経緯を教えてください。

――歴史学・地理学を専門的に学べるのが四国で唯一ということもあって、四国学院大学を選びました。メジャー制度で専門分野以外からも学ぶことができるので、学部の垣根を越えていろんな分野からいろんな視点を学べたのは大きいと思います。

「瀬戸芸カフェ」での経験と歴史学・地理学メジャーで学んだこととの繋がりは感じましたか。

――歴史的な建造物や島の歴史や特性を活かした美術品もあって、歴史と美術は切り離せないものだなと感じました。作品によっては現地に行って知るものもあったんですけど、事前に調べていた作品で現地に行って「なるほど」と納得することもありました。

印象に残っている授業はありますか?

――歴史学・地理学メジャーの「地図・地理資料を読む」という授業では、地形図から町の変化などを読み取っていくのですが、地図だけでこれだけの情報が読み取れるんだという驚きがあって、とても面白かったです。今、卒業研究でも授業で学んだ地図や地理資料から読み取れる情報を活用しています。
 他メジャーの授業の中で印象に残っているのは、田尾先生の「マーケティング論」です。情報を伝える側の立場で、社会人になって必要とされてくる知識や考え方を先に学ぶことができたので、今から役立てて活かせれたらいいなと思っています。
博物館関係の授業で、図書館で手ぬぐいの展覧会を開いたことがあります。その時、Wordで写真を配置するなどしてポスターを作成したのですが、それがすごく楽しかったので、私は何かを作ったりすることが好きなんだなと改めて感じました。写真部でも、写真を撮ることも好きなのですが、撮った写真をどのように展示するのかを考えるのも楽しいです。今までは小さいサイズの写真を飾っていたのですが、やっぱり写真は大きい方が迫力があると思って、私が部長になってA4サイズでの展示に変えてみたら、けっこう評判が良かったので嬉しかったです。
 そういった経験もあって、私は将来、何かを企画する仕事をしたいと思っています。


◆マグノリア・カフェとは
正規のカリキュラムを補強しながら行う、自主講座、自主セミナー、自主ワークショップ等の課外活動です。教員と学生が会食をし、交流を行いながら学んでいきます。

『将来のための人生経験を ~キャンパスベンチャーグランプリに参加して~』


社会福祉学部 精神保健と福祉メジャー 平尾 隆人さん
丸亀高校出身
学生が新たな事業を提案するビジネスコンテスト、キャンパスベンチャーグランプリ。
”学生起業家の登竜門”ともいわれているキャンパスベンチャーグランプリは、全国8地域(北海道、東北、東京、中部、大阪、中国、四国、九州)で展開しています。
第19回キャンパスベンチャーグランプリ四国大会に参加し、『介護業界の発展 ~廃棄衣料から新たな価値を~』で特別賞四国産業人クラブ賞を受賞した平尾さんに、応募の経緯や大会の感想についてお話を聞いてみました。

キャンパスベンチャーグランプリ四国大会に応募しようと思ったきっかけは何ですか?

――いとこが数年参加していたのを見ていて、自分も応募してみようと思いました。大学に入って福祉関係のことを学びたいと思っていたので、もし起業するなら福祉関係に携われるものや福祉方面で力になれることがしたいと思って、なんとか形にしようとアイデアをたくさん考えました。
福祉といえば、精神福祉と社会福祉と介護の大きく3つの分野があると思うんですけど、応募した当時は1年生なので精神福祉や社会福祉などの現場を見る機会はありませんでした。アイデアを形にするためにも実際に働いて体験できたらいいなと思って、派遣会社を通じて介護のアルバイトを経験しました。現場の声として「スライディングシート高いんだよね」という話を聞いた時に、何かできないかと考えて、それが応募のアイデアに繋がりました。スライディングシートとは、ベッドから車いすへの移動や仰向けからの体勢変換を補助するものです。やっぱり自分で経験して自分で学べることからアイデアを出していくのは大事だなと感じました。

今回受賞した『介護業界の発展』は、どのような提案ですか?

――SDGsやエコを重要視する政治経済と実際に自分で現場を見た介護業界、その両方のためになることはないかということを考えて、「廃棄される衣服を再利用してスライディングシートを作る」ということを提案しました。衣服が大量に廃棄処分されて環境問題になっていることから、それなら廃棄される衣服をスライディングシートとして使えないか?と考えたのがきっかけでした。
思いつくまでの過程としては、実際にヒアリング調査をしてみて、介護職員さんにヘルニア持ちの方が多かったので腰をサポートできる商品を作れないか?とか、食事用の医療器具を作って施設側の経費削減と利用者さんに活用してもらえるものができないか?など考えていました。ただ、僕はまだ学生なのでなかなか難しい点もあったのですが、スライディングシートは実際に作って試すことができたので、この案でいこうと決めました。実際に自分が着なくなった服で作った時は、耐久性や安全性が商品を作る上では大事だと思ったので、友人に試してもらったりして、素材は布製品よりナイロン製が安定することが分かりました。
自分のプランの強みは、廃棄する服でナイロン製を使えば耐久性があること、元々ゴミになるはずだったものを使うのでエコだし、初期費用がかからないので経費削減につながることです。それに、安く仕入れたから安く売ることができます。インターネットで検索した時に、従来の商品は1,500円が定価でした。僕が提案したプランでは、市場の定価を下回る1,000円での提供としていたので、そこが一番の強みでもあります。弱みとしては、形にする力が必要であること、一人では生産性が少なく、必要とされた時にスムーズに商品を提供できないことです。こういった強みと弱みを考えて、プレゼンに臨みました。

大会に参加してみてどうでしたか?

――大会では、自分の提案をプレゼンした後に、四国県内で起業している社長さんとの質疑応答があります。提案したことについて、細かく質問されて、勉強不足で答えられない面もあったのですが、プロの方はこういう視点で物事をみるのか、とか他にもすごい提案をしている方がいたので、とてもいい社会勉強になりました。
他の応募者はチームで参加している方も多くて、助け合いながら意見をしっかり発表していたのを見てすごいなと感じました。パワーポイントでのプレゼンの仕方も、プラン内容がすべて頭に入った上で発表しているので原稿をじっと見ることもなく、重要な点はポインターを使ってしっかり前を見て伝えていて、やはりそういった参加者はプレゼン力が高得点でした。自分の場合は初めてで緊張したし、原稿も真面目に読もうとしてガチガチだったので、プレゼン力の面では力不足だったかもしれないんですけど、特別賞を受賞することができて嬉しかったです。
なので、またいいアイデアが浮かんだら今年も大会に応募してみたいなと思っています。今度は僕も友人を誘ってチームで参加してみたいですね。

大会に参加してよかったことを教えてください。

――すごくいい経験や社会勉強になりましたし、特別賞四国産業人クラブ賞という名誉ある賞をいただけてすごくありがたいです。将来就職する時に自分の実績にもなりますし、他とは違ったアピールポイントになるのではないかと思います。今回のことで本当に周りに恵まれているなと感じていて、僕を支えてくれた家族や友人たちにはすごく感謝しています。

自分が成長できたと思うことを教えてください。

――僕は元々あがり症で、人前で発表したり、人と話す時に自分の言いたいことをうまく伝えられなかったんですけど、この大会を機にプレゼンの力やコミュニケーション能力が少し上がったなと感じています。文章を作って人に発表する中で、こういう伝え方よりはこういう伝え方がいいなということを考えたり、家族や友人たち相手に練習をしてみたりして、本番のプレゼンを終えた後には自分に自信がついたと思います。
それに、この大会を機に、もし将来自分が医療業界とかで何か助けたいと思った時に自分の持つアイデアが役に立てるかなとか、NPO法人でサービス提供者とうまく連携できたら商品開発にも繋がるかなとか、色々な可能性を感じています。1人ではできなくても、これから色々なことに携わって、自分が本気になれば商品開発も形になるかもしれないと思うようになりました。

本学へ入学した経緯や入ってよかったことを教えてください。

――元々高校を卒業したら就職しようと思っていたんですけど、先生から四国学院大学を紹介してもらって、自分でも色々インターネットで調べていく中で、高校3年生の頃には大学に進学したいと思うようになりました。はじめは他の大学も考えていたんですけど、祖父祖母の介護やコロナの感染状況の中で、先生や先輩から四国学院大学の話を聞いて素晴らしい大学だなと感じました。何を学びたいか?ということを考えた時に、祖父祖母の介護のことや自分自身が心を病んだことがあってカウンセラーやソーシャルワーカーの方に助けられた経験があったので、自分も誰かを助けられる人になりたいと思いました。大学の4年間で取得できる資格がないかと考えた時に、精神保健福祉士という資格を知り、進学を決めました。精神保健福祉士の取得を目指して入ったんですけど、実際に入学して学んでいく中で、カウンセリングを学んで医療の面で患者さんを支えていきたいという気持ちが強くなり、3年生からは心理学・カウンセリングメジャーに変更してより深くカウンセリングを学んでいきたいと思っています。自分の学びたいことが変わった場合でも、メジャー変更で学びたいことが学べるのは魅力的だと思います。それに、授業を担当する先生も、実際に現場を経験している方が多く、授業内容も現場の体験をもとに伝えてくれるので、味の濃い授業が受けられているように感じます。そういう面でも、四国学院大学に入ってよかったと思います。

これからの目標を教えてください。

――大学内の授業を通して国家資格を取得して就職することも、一つの目標としてあります。今回の大会に参加して、大学生活で努力している人は上には上がいると知りました。そういう人たちと同じ土俵で社会に出て競争していく時には、個々の力が重要になってくると感じたので、もっと自分磨きを頑張りたいと思います。大学の勉強に加えて通信講座などで民間の資格を取得したり、例えば自分を見込んで何か企画や大会などに誘われたら、悩む暇があったら行動に移して、積極的に参加して経験を積みたいです。