『小説を通して』

社会学部 情報加工学メジャー 文学マイナー 2019年度卒業 宮地天雅くん
活動内容:第53回香川菊池寛賞奨励賞受賞 作品名『しゅどうと宮里』

執筆活動をはじめたきっかけは何ですか。

――元々本を読むのが好きな方ではなかったんですが、兄弟に誘われて、中学校の時にケータイ小説を書いてみたのが始まりです。その頃は、そもそも小説とは何かも分からないままに書いていたので、ただ会話分を並べているだけの、台本に近い小説にはなっていないものでした。それでも、ケータイ小説はずっと書き続けていました。高校では文芸部に入ろうと思っていたんですけど、中学から引き続いて柔道部に入ることになって、小説はあまり書けていませんでした。でも、人として成長できたのは柔道部に入ったからだと思うので、後悔はしていません。本格的に小説を書き始めたのは、大学に入ってからです。

本学の情報加工学メジャー、文学マイナーで学んだことが執筆にも活かされましたか。

――大学では、文学を勉強したいという思いと情報加工学メジャーでインタレストの発刊に関わりたいという思いがありました。編集部での経験が後々小説にも活かされてくるのでは、という考えがあったからです。情報加工学メジャーは実践的で、僕の考え方とも合っていました。文学の授業で取り扱うのは、僕が書くジャンルとは違う近代文学で言葉の使い方が違ったりしたので、ためになりました。情報加工学や文学について、自分がやりたいことを選んで学べるので、すごく賢く学べているのかなと思います。

今回香川菊池寛賞奨励賞を受賞した時の思いを教えてください。

――受賞の連絡をいただいた時は、本当にびっくりしました。もちろん全力で頑張って賞をとる気で応募はしていたんですが、とれないのが普通だと思っていたので。でも、賞がとれたら嬉しいなと思っていたので、本当によかったです。

受賞作『しゅどうと宮里』への思いを教えてください。

――今回の作品は、僕が書きましたけど、恵まれた環境で育って、人にも恵まれて、そのおかげでできた作品だと思っています。病院の先生方、高校の先生、多くの人にお世話になりました。障害をテーマにした作品は、簡単に書けるものではありませんが、障害を持っている僕だからこそ書ける作品だったのではないかと思います。僕自身、障害を持っている人とどう接したらいいのか分かりません。苦手だなとか関わりづらいなと思うのはあたりまえのことだと思います。でも、普通に接してくれたらなと思います。ただ、付き合いが長い人には分かってもらえることが多いので、初対面の人に対してもいつも通りに喋って「何言ってるのか分からない」と言われた時はショックを受けます。そういう時は喋り方に気をつけたり、言い回しを変えたりするんですが、僕自身は喋れているつもりなのに伝わらないので、頭が真っ白になることもあります。でも、僕自身が障害を持って生まれて、今の環境で育ってこなければ今回の作品は生まれなかったと思います。

将来の目標を教えてください。

――小説は、誰でも書けると思います。上手い・下手、本になる・ならないは関係なく、ネット小説など誰でも書ける世の中です。その誰でも書ける世の中で、限られている小説で食べていける人間になりたいと僕は思っています。そのぐらいの強い気持ちで、これからも小説を書いていきたいと思います。それに、今回この賞をいただいたこともありますし、地元香川県を盛り上げていけたらいいなと思います。

小説を書きたい・書くことに興味がある後輩へ、アドバイスやメッセージがあればお願いします。


――小説は、途中で投げ出さずに書ききることが大事だと思います。書ききった時の開放感はとんでもないです。小説を書きたいなら、「本を読むこと」「書くこと」です。活字離れと言われている時代で、ツイッターなどのSNSで活字を読んだ気になるのではなくて、本になっている質の高い文章を読むことで、文章力も上がってくると思います。
まぁ、僕は本よりもマンガばかり読んでいるので偉そうなことは言えないですけどね(笑)

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香川県菊池寛賞
高松市出身の作家、菊池寛(1888~1948年)を顕彰し、新人発掘と地元の文化振興を目的としている。
宮地くんが受賞したのは、第53回香川菊池寛賞奨励賞。
◆『しゅどうと宮里』は、『文藝もず』第19号に掲載されています。