『地域での観光を考える』(地域活動)

社会学部 観光学メジャー 2017年度卒業 木内芽衣香さん
場所:綾川町、琴平町
活動内容:地域観光に関わる活動、ボランティア

綾川町シティプロモーションのためのワークショップでは、どのようなことをしましたか。

――話し合いは2回あって、1回2時間程度でした。事前に資料をもらって、「今回はこういったやり方で話し合いをするので、これで話し合いしてください」と言われました。参加者としては18~30人ぐらいで、一つの机に5人程度のグループでの話し合いでした。1回目の話し合いの時には、「綾川町を発展させるのに、今自分がほしいものって何?」というテーマで、グループのみんなで綾川町のいいところや綾川町にほしいことを集めて、机に貼った紙に書き込んでいきました。1回目の話し合いで出た意見は、役場の方が集約してくれて、次回の話し合いの時に「前回の意見をまとめた参考資料」として、それをもとに次は「綾川町で笑顔になれるイベントは何かないか」というテーマで行いました。その場で意見を出す事が多かったです。綾川町のいいところとして実際に出てきたのは、高松や丸亀にも車で40分でいける交通の便がいいところ、綾川町の山方面では田んぼなど自然がたくさんあって農業ができて、町の方へいけばイオンもあるし、住みやすい町なのではないか、などの意見が出ていました。綾川町の土地で、空いているところがあるので、そこに何があればいいかという話もありました。公園は欲しいけど不審者問題をどうにかしてほしい、というのとサイクリングなどのアウトドアを増やしてほしいという意見がありました。いいところだけではなく、悪いところについても意見がありました。元々田んぼが多いので、食物に影響を与えないために外灯が少ないんです。綾川イオンがあるので明るいと思われているんですけど、イオンの裏は外灯がひとつもなくて真っ暗になります。また、綾川イオンができたことで交通量が増えて人身事故も増えているので、歩道橋を作って欲しいという意見もありました。役場の方は、住みたいと思っている方を全面的にサポートしたいという思いがあるようでした。

木内さん自身は、どのような意見を出しましたか。

――私は、2回目の話し合いの時、1回目の時に同じグループだった役場で働いていた元観光課の方が、せっかく四国学院大学と綾川町が提携を結んでいるのだから、もっと学生を利用したいと言っていたので、2回目の話し合いの時に「学生と協力できるイベントを立ち上げたい」という意見を出しました。綾川町には農業高校があって色々と物を作っているという話を聞いたことがあったので、四国学院大学の学生や農業高校の学生を利用した、農業に関するイベントをしてもいいのではないかと思いました。
綾川町に道の駅があるんですけど、売っているものは農協と変わらない野菜メインで、トラックの運転手の方の休憩場所として使われているだけでほぼ人が来ていません。土地がもったいないので、道の駅をリノベーションして、建物をきれいにして人が集まれる場所を作ればいいのでは、という意見を出しました。道の駅を利用して、子どもが遊べる場所と親が見守れる場所が作れれば、住んでいる人が笑顔になれる町になるのではないかと思いました。綾川町はうどんを発祥した最初の土地だということを売りにしていて、うどんの建物があるんですけど、全然人が来なくて活用されていないので、そこで学生に何かしてもらえたらいいなと役場の方に言われました。野菜や米粉などを売っているので、販売促進のためにも、建物を利用してカフェなどを併設してはどうかと提案しました。カフェだと若者も、住んでいる人も集まって話ができるし、地元の新鮮な野菜も買えるので、けっこう利用できるかなと思いました。

新しい発見や学びはありましたか。

――衝撃を受けたのは、1回目の話し合い時の実際に住んでいる方の意見でした。私は、観光学を専攻しているので、「観光をメインで発展させるにはどうしたらよいか」をずっと考えていました。でも、子どもがいる奥さんの「綾川町には子どもが遊べる場所がない」という意見を聞いて、そういう場所も必要なんだと考えるようになりました。外から人を呼ぶ観光だけではなくて、住んでいる人が住みやすい場所にすることも必要だと感じました。この意見でグループ内では話をしていたので、住んでいる人が笑顔だったら、外の人も絶対に来るはずだから、住んでいる人が住みやすい町にすればいいのではないかという結論になりました。

琴平町での金比羅ボランティアはどうでしたか。

――授業で行う琴平の金比羅ボランティアでは、歌舞伎公演に屋外のスタッフとして関わります。毎年、松竹の方々が、歴史のある歌舞伎座で2週間歌舞伎公演を行います。去年は片岡愛之助さんが来ていました。観光地のスタッフの経験や、お客さんと接することでコミュニケーション能力が向上し、接客のスキルも身につけられます。それに、2週間で2単位もらえるのも大きいです。でも、単位を抜きにしても、すごくいい経験になりました。去年から参加したんですけど、歌舞伎については何も知らなかったのでたくさん勉強しました。お客さんからストーリーについてよく聞かれるので、話ができるように勉強をしているうちに歌舞伎の面白さに興味を持ちました。屋外でのボランティアなので歌舞伎自体を観ることはできないんですけど、お客さんが出た後の清掃をして解散した時に、役場の方の案内で歌舞伎座内の珍しいところまで行くことができました。その時、歌舞伎座の内部を研究している方が丁度その場にいたので、歌舞伎座についての説明を受けることができました。歌舞伎座の天井は竹でできているんですけど、そこを歩かせてもらったり、愛之助さんの楽屋前まで行かせてもらったりもして、けっこう面白かったです。観光課の方ならではの話もたくさん聞けて楽しかったです。

琴平町でのワークショップにも参加したということですが、綾川町との違いはどういうところで感じましたか。

――琴平町での話し合いに参加した時は、綾川町とはまたやり方が違っていて、すごく勉強になりました。琴平町の時は、みんなが円になって座り、「こういうイベントがやりたい」という意見をそれぞれ紙に書いて、他の人に伝えます。意見を聞いた他の人は、興味のある人のところにいき、話を聞く、というやり方でした。歌舞伎役者さんの手形をいただいて飾る、余った土地を公園にする、金比羅街道を購入した会社から、どういったものを建てるか、などの意見があげられました。こちらでも最近の若者事情について聞かれて、若者はフェイスブックやインスタグラムなどSNSでの写真映えなどを重視することを話しました。大人はお土産が第一優先になるとのことで、そこが盲点となっているようでした。琴平町はボランティアで参加していることもあって繋がりがあるため、より積極的に話し合いに参加しました。琴平町は観光をメインに話し合いをしていたので、観光学の授業と通じるものがありました。授業で学んだことを踏まえて、産地の野菜を活用したり、お土産よりも食べ物を用意した方がお客さんは来るのではないか、という話をしました。琴平町には歌舞伎座もあり、松竹の方もよく来られるため、外から人を呼ぶ素材があって、それをフルに利用しようという考えがありましたが、綾川町にはそれがなかったので、話し合いの内容が全く違いました。場所によってこんなにも違いがあるのか、と感じました。
 綾川町と琴平町では会議のやり方が全然違っていたので戸惑いもあったんですけど、新しい考えを知ることができて、どちらも楽しかったです。

地域での活動に参加して、何か変化はありましたか。

――観光学メジャーでずっと先生から言われていたのは、「外から人を呼べるようなものを作りなさい」ということでした。琴平町の歌舞伎のボランティアの際は、金比羅が観光地のため、外からという意識が強かったです。そのため、綾川町の「内側からの意識」は新しい考え方で衝撃を受けました。今までは、外からだと意識していて「中から変えていく」という発想がなかったので、新しい発想に触れて視野が広がりました。実際に参加してみないと気づけないことが多くありました。話し合いに参加して感じたのは、みんないろんな考え方があって、綾川町を発展させるための意見一つにしても、仕事柄や、住んでいる方の考え方だけでも違い、観光学だけじゃないなと感じました。色んな意見が聞けて、楽しかったです。学生でこんな経験はなかなかできないと思うので、参加できてよかったです。

今回の地域活動の経験を通して、もし四国学院大学をPRするとしたら、どういう点を宣伝しますか。

――施設でいえば、広い芝生です。4年間ずっといて思ったのは、メジャー制度なので学部学科関係なく仲良くなれるところです。色んな人と仲良くなれて、学部学科の壁が存在しないので、そこはけっこう嬉しいです。他大学の友達に聞いたら、学部によって人との関わりも隔離されてしまう部分があるようなので、それだったら四国学院大学の方が自由で広々としていてのんびりできるかなと思います。観光学メジャーとして推したいのは、金比羅ボランティアができることです!

これからの将来にどう活かしていきたいですか。

――もし公務員になって観光課で働くとか、旅行会社で働く、となれば、私はすでに地域の方の意見を知っているので、発信していけると思います。今は幅広く就職活動をしているんですが、観光が関係ない職種でも、観光に関わりたいという気持ちがあります。将来的に、自分も観光とは言わずに何かできることはないかなと考えています。もし香川に就職したとしたら、歌舞伎のボランティアは続けていきたいと思っています。

地域での活動やボランティアに興味がある後輩へアドバイスやメッセージがあればお願いします。

木内芽衣香さん
――参加できる機会があれば、じゃんじゃんやるべきだと思います。私も、好奇心から全部やってきたんですけど、やって後悔したことはありません。それに、やったことで身になることもありますし、アルバイトとかでは経験できない、お客さんとの関わりやコミュニケーションが身につきました。観光学としてボランティアに行くので、観光としてこれはどういうことなんだろうと自分から考えるようになりますし、身近にスタッフさんがいるので話を聞かせてもらって、すぐに学ぶことができます。絶対経験すべきだと思います。それぞれの場所によってやり方や考え方は違っているので、地域で実際の現場を見ることで授業で学んだ知識だけに偏らずに広い視野を持つことができます。チャレンジが大事ですよ!