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『出会いの輪』

社会学部(演劇コース) 氏原恭子さん
期間:2016年9月9日~9月19日
活動内容:さぬき映画祭2017『Lemon&Letter』出演/その他エキストラ出演など

●『Lemon&Letter』に出演することになったきっかけを教えてください。
――梅木監督が2016年のSARPvol.10「ROMEO&JULIET」を観に来てくださった時、私に目をかけてくださってたようで、公演後に「よかったら映画に出ませんか?」と声をかけていただきました。今まではずっと舞台をやっていたんですけど、映像の演技にも興味がありました。ちょうどいい機会だったので、是非出演したいと思いました。

●メインヒロインの高木夕を演じてみてどうでしたか。
――『Lemon&Letter』は本当に純粋な子どもたちの話です。初めて台本をもらって読んだ時、かわいいなぁと思いました。いつまでたっても素直になれない子どもたちが、別れる時にやっと自分の気持ちを直接伝えられるようになるので、本当に成長の物語だなと感じました。私が演じた高木夕は、素直じゃないところが私と似ているなと感じました。でも、私より可愛気があります。将来のことで悩みながらも、頭の中は主人公の海斗一色なところがあって、最初は海斗が東京に行くから私も東京行こうかなとか言っていたりして、「本当に将来それでいいのか!?」と共感できない部分もあったんですけど、最終的にはちゃんと自分でやりたい夢を見つけてお別れをして、「私頑張ってくるね」と自立して、筋の通った子になったのでよかったです。そんな夕役としては、恋する女の子を演じるのが難しかったです。表情をつくる時、カメラで顔をアップで撮られていたので、内心どうしよう、今どんな顔してるんだろう、と思ってドキドキでした。ここをこういう感情でやってほしい、というのは監督に熱く語ってもらっていたので、監督の想いが夕ちゃんに込められていることを感じました。

●『Lemon&Letter』の舞台、男木島での撮影はどうでしたか。
――撮影初日は、まだ撮影とかではなくてロケ班みたいな感じで、どこでどういう撮影をするのかという説明があって、男木島の住民の人たちに挨拶に行きました。景色とか眺めがすごくきれいで、男木島の人たちはいい人ばかりでした。梅木監督がすごく楽しそうで、のびのびと生きているなぁと感じました。監督の前作『W&M』も男木島が舞台だったんですけど、男木島に旅行に行った時の出会いがとても大きかったみたいです。景色にも一目惚れして、「ここで映画を撮りたい!」と思ったみたいです。撮影が始まると、朝5時頃に起きて、私たち役者はメイクに入って、スタッフさんが現場の準備をしてくれていました。外での撮影が多かったので、天気を見ながら、この明かりの時にこの場所で撮る、というのがけっこうあって、曇ったり太陽が出たりというのを待って撮影していました。フェリーが来る、というシーンでは、フェリーを撮影のためにずっと停めてもらうことはできないので、絶対一発で終わらせよう!と思いながら頑張りました。太陽がとても眩しかったんですけど、太陽の撃退方法を俳優の品田誠さんに教えてもらいました。目を瞑って太陽の方を見てから、目を開けて撮影するということを聞いて、実践してみるとけっこう効きました。その状態でカメラの方を見ると、黒目が大きくなっていたみたいで、「可愛くなってるよ」と言われて、そんな効果もあるのかと思いました。品田さんの演じる海斗が夕を走って見送りに来るシーンがあるんですけど、カメラのアングルなどを決めるために住宅街の坂道で何度も走るシーンを練習していて、部活の走りこみのようになっていました。最終的には品田さんが疲れて、伊藤くんが代わりに走っていました。伊藤くんには今回、本当に色々とやってもらいました。撮影はとても楽しかったです。

●男木島での生活で印象に残っていることは何ですか。
――夜のお散歩で、港の方に行ってみると海が光ってるんです。海蛍がいっぱいいて、本当に絶景でした。海蛍を見るのは初めてだったんですけど、星空みたいに光っていて本当にきれいでした。是非、男木島に泊まりに来てほしいです。あとは、やっぱり男木島に住んでいる人たちが印象的でした。みんなでたこ焼きパーティをしたんですけど、その時にゆでだことかサザエを売っているおじいちゃんと仲良くなっていたので、「撮影やから持っていきな」とタコをタダでくれたことがありました。私はタコを取りに行ったんですけど、本当に海からタコを引っ張り出して「ほら、殺してみ」と言われて、普段絶対しないような体験をさせてもらいました。

●映像の演技で難しかったことや気をつけたことは何ですか。
――映像をカメラで撮る、というのは本当に難しかったです。物とかを渡す時の高さも、普通に渡す高さではなくてカメラに映るように渡さなければならなかったので、「手をここら辺まで上げて、ここで渡して」というカメラに映る細かい身体の調節とかもあって、けっこう苦戦しました。でも、慣れてきたら、舞台とちょっと似ている部分もあるな、と感じるようになりました。カメラが客席だと思えばいいのか、と、後半は立ち位置とかもスムーズにできるようになりました。同じシーンをカメラの角度を変えて何度も撮っていたんですけど、カメラの位置が違うと自分の立ち位置も変えなければいけなかったので難しかったです。映像だと、アップになると瞬きの動きだけでも大きな動きになるので、表情は硬くならないけど動かしすぎないように、ということに気をつけました。監督が指示しているのを聞いていると、演劇とちょっと似ているところもあるなと感じました。ちゃんと物を見て、触って、リアクションする。その一連の流れが、あまりわざとらしくならないように、自然に、ということを監督はよく言っていました。表情とか動きとかで映る部分が大きいので、そんなに台詞も多くなくて、動きで表現したり、何を考えているのかを伝えるっていうのがけっこうあって、それができるようになったらすごいなと思いました。でも、本広監督やさぬき映画祭の方が『Lemon&Letter』を観てくれて、「良かったよ」と言ってもらえて嬉しかったです。

●舞台と映像の違いはどんなところで感じましたか。
――大きな違いは、映像だとシーンごとにカットして、けっこうブツ切りで、時間軸もバラバラなところです。なので、あれ?これって昨日の出来事?今日?と、混乱することがけっこうありました。舞台だと2時間ぶっ続けでどーんとできるので、ずっと集中してできるし、何十回も練習してるからそんなに混乱することもありません。今回の『Lemon&Letter』は、監督が最後までシナリオを良いものにしようと考え直していたので、本番前日くらいに出来た台本を渡されたりと、シナリオが変わることがけっこうありました。前のシーンをちゃんと思い出せたらすんなりいけるんですけど、これいつだったっけ?と考えてしまうと難しくて。でも、今回の経験でシーンごとの気持ちの切り替えができるようになったと思います。舞台は、工程から完成したものをお客さんに見せる時まで、役のことを考えることも全部好きなんですけど、映像はやっぱりまだ難しいなと思うことが多いです。でも、舞台とは全然違うことができる、ということが映像の面白さだと思います。舞台だと、日常的な普通の演技はあまりやらないので、等身大の自分を出せるというか、現代に生きるそのままの自分を演じられるのが映像だと思います。

●自分の中で何か変化はありましたか。
――周りの雰囲気を良くしようと思うようになりました。ギスギスしたりして雰囲気が良くないと、みんなが焦って撮影が失敗して長引いてしまうので。色んな人に話しかけたりして交流を深めたり、撮影の時も笑顔でいることを心がけていました。みんな同じところに泊まって生活していたということもあって、スタッフさんたちともけっこう仲良くなれました。撮影中、すごく暑くて、メイクの方が日傘を差してくれたり、他にもびっくりするくらいスタッフさんたちに良くしてもらって、こんな女優で大丈夫なのかなと不安に思うこともあったんですけど、現場でどっしり構えているのも俳優として大事なことなんだと思うようになりました。

●本広監督が総監督を務めた丸亀市をPRするショートムービー「HONETSUKIDORI」や本学が舞台となった「君と100回目の恋」にもエキストラとして参加していますが、どうでしたか。
――「HONETSUKIDORI」の時は、侍の役で少しだけエキストラとして出演させていただきました。でも、何度も撮り直しをするのはメインのアップになっている人で、エキストラだと1回良いものが撮れるとそれで終わりなので、楽しむことを第一にやりました。「君と100回目の恋」の時は、遠目から学校生活をしている様子を撮っていたので、すぐ近くで俳優さんの演技を見る機会はありませんでしたが、現場を学ぶという意味ではすごく大きかったです。スタッフさんの動きがすばやくて、助監督の方がどんどん指示を出して、エキストラ一人ひとりに声をかけていました。他のスタッフさんの細かい気配りもちゃんとしていて、俳優さんの立ち位置を全部チェックしている人もいて、すごいなぁと思いました。ひとつひとつのことをちゃんとメモしてやっていて、さすがプロだなと感じました。

●『Lemon&Letter』をはじめとする映像作品での経験をこれからの将来にどう活かしていきたいですか。
――映像で学んだこと、自然な動きだとか表情の変わり方だとか、目の動かし方とか、そういうのは演劇でも使えるなと思います。そういう繊細な動きの大切さを本当に感じました。私はけっこうニュアンスとか感覚で動いてしまうので、繊細な動きを自分で意識して、動きを自覚しながらできるようになりたいと今回の経験で思いました。これからは、今のところ舞台をメインにやっていきたいと思っています。映像は、また機会があればやりたいです。来年またさぬき映画祭に関わることがあれば、今度はスタッフもやってみたいです。スタッフさんは大変そうなんですけど、すごく楽しそうでした。それに、監督がすごく一生懸命されていたので、監督の力になれたらなと思います。FM高松のラジオパーソナリティのお話もいただいていて、私は喋るのがあまり得意ではないんですけど、そういうことも経験してできるようになりたいなと思います。

●映像作品や演劇に興味がある後輩へアドバイスやメッセージがあればお願いします。氏原恭子さん
――演劇を全力でやっていると、それ以外の人も目にかけてくれますし、出会いにもつながるので、そういう出会いを大切にどんどん進んでいってほしいです。自分から色んなところに行ったら、どんなことでもできると思うので、是非演劇やってみてください! たくさん出会いが転がっています。映画祭で知り合った方のおかげで丸亀市のショートムービーにも関わらせてもらいましたし、その方たちの劇団の東京公演にも招待していただいたりもしました。今回の『Lemon&Letter』も、私の公演を観に来てくれた梅木監督が声をかけてくれました。その出会いから、どうやって輪を広げられるかが大事だと思います。
私は、年に1、2回くらい自分で観劇ツアーをするようにしています。自分で行くと、東京は何本も公演をやっているので、当たりはずれがあって、自分が良いと思うものになかなか出会えないこともあります。もし演劇やりたい人が行くなら、とにかくたくさん観て、これだって思うものを見つけて欲しいなと思います。

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映画『Lemon&Letter』Facebookページ
<『Lemon&Letter』あらすじ>
男木島出身のカメラマンを父に持つ主人公の(海斗・少年)~病気を患う母の希望もあり、祖父が漁師をする島に家族3人で帰ってくる~海斗少年が、小学5年の夏、東京から島にある親子が移住してくる。海斗と同じ学年の女の子(夕)~少年・少女の成長とともに繰り広げられる。島で暮らす家族と、海斗と夕の初恋成長物語を描いた映画作品。
本学の非常勤講師梅木佳子さんが企画・脚本・監督を、演劇コース3年氏原恭子さん、演劇コース2年伊藤快成くんが出演しています。
さぬき映画祭2017での上映は終了しましたが、次回の上映会も決定しています。
□5月27日(土曜日)10時~善通寺市民会館~
★さぬき映画祭優秀企画作品を地域へお届け!
映画「Lemon&Letter」&「W&M」善通寺市民会館上映会

さぬき映画祭2017
 
*丸亀市ショートムービープロジェクト「HONETSUKIDORI」

『君と100回目の恋』公式サイト
 本学ロケ地について
 
*FM高松 Action‼︎815 Challenge Thursday
氏原さんの担当は、毎月第2.4.5木曜日。

『映像の面白さ』

社会学部(演劇コース) 逢坂涼介くん
撮影期間:5月27日(金)~5月29日(日)
場所:四国学院大学
活動内容:『君と100回目の恋』撮影スタッフの手伝い

●撮影にスタッフとして参加しようと思ったのは何故ですか。
――演劇コースに入って、最初は役者として頑張っていこうと思っていたんですけど、途中で映像を作る側の面白さに気付きました。役者だけではなく、スタッフも演劇コースではやるんですけど、そこでカメラで撮るということがあって、自分でカメラを回してみると意外と楽しくて、編集も楽しくて、こっちの方が役者やってる時より楽しいなと感じるようになりました。ノトスは舞台がメインなので音響と照明はあるんですけど、映像のポジションはなくて、誰もいないなら自分がやろう!と思って2年生のはじめ頃から映像をやり始めました。それから、映画監督の本広克行さん(本学客員教授)が四国学院大学のCMを撮ることになって、でも本広監督は忙しいので若手の監督2人に任せる、となった時に、最近映像をやり始めているから、ということで西村先生に推していただいて、2人の監督さんに関わることになりました。CM撮影に関わっていたこともあり、今回、大学が映画『君と100回目の恋』のロケ地となるということで、良い経験になるのではないか、と職員の方に撮影の手伝いをする機会をいただきました。舞台に特化している大学なので映像は学べない、というところがあったので、映画の現場を学ぶならここしかない!と思って参加を決めました。

●具体的にどのように撮影に関わりましたか。
――舞台の現場だったら動ける部分もありますが、映画の撮影では僕は素人なので、助監督の方に「何をすればいいですか?」と最初に聞きました。映画でクレーンとかを組んだりする特機班に関わることになって、物を運んだり、カメラをつるす機材を組んだり、といった手伝いをさせてもらいました。撮影の3日間、重機とか特機の方の手伝いをしていました。

●今まで経験していた舞台と、今回の映像(映画)ではどのような違いを感じましたか。
――使っている物、テープ類とかは舞台と同じだったので、すぐに対応はできたんですけど、動き方とか役職も全然違っていました。舞台は、本番の掛け声がありません。ずっと稽古して、演出家さんが「ここもっとこうして」と指示を出したりして、稽古中スタッフはじっと座って見ている感じなんですけど、映画の現場は「よーい、スタート!」の本番の掛け声で、みんながピシっと止まりますし、「カット!」の掛け声で一斉に動き始めます。場面転換や衣装の人、カメラマンの人が一斉に動いて、本番になるとまたピタッと止まって、という動きにすごく新鮮さを感じました。3日間通して、これがプロか、これが映画の現場なんだな、と驚くことばかりで、舞台と全く違うなと感じました。
舞台は一貫通して起承転結全部きれいに通していくんですけど、映画はシーンがあってバラバラに撮影していました。キスシーンの後にすごく必死なシーンを撮っていたり、その演技の瞬発力というか、すぐにその演技が出せるのはドラマとか映画の俳優さんしかできない演技なのかなと思いました。気持ちの切り替えがすごいなと思いました。また、演出に関しても、舞台は台詞の言い方とか人間の動きが重要で、映像は目の開き具合、目の動きとか細かい演出が入ってくるので、演出の仕方もまた変わってきます。演技ではハテナマークとかビックリマークがつく表情をやるのが難しいと言われていて、僕も役者をやっている時に表情が硬いと言われていました。それに注目して演技を見ていたら、役者さんはすぐに表情をつくっていたのでプロはすごいなと思いました。

●映像について、どんなことを学びましたか。
――将来はこういう映像の仕事に就きたいということを話すと、スタッフの方が機材の説明をしてくれて勉強になりました。それに、監督がカット割のミーティングをする、と言った時に瞬時にスタッフが集まって「ここで1カット、ここで2カット・・・・・・」とすごくテキパキと臨機応変に決められていたので、こういう判断力を求められるのだなと感じました。やっぱり舞台はお客さんが全体を見ているんですけど、カメラは四角い部分しか映せないので、その四角の中でどれだけ監督が演出してるのか、ということがすごく学びになりました。カメラマンさんの動きとかも見ていて、カメラを動かすローラーがあるんですけど、「あ、そう動かして撮るんだ」とか「ここから顔を映して撮るんだ」という発見もありました。
僕は将来、監督か演出をやりたいと思っています。監督は監督の仕事があってすごいなと思ったんですけど、一番すごいなと思ったのは助監督の方で、十数人いたエキストラの名前を一瞬で覚えていたんです。監督は役者との演技を固める話し合いをしているので、助監督がスタッフを集めて「ここのシーンはこうだからこういう風に動いてください」と指示を出したり、遠くにいるエキストラに指示を出したりしていて、その周りを見て管理できる能力というのはその監督や助監督から学びました。授業で映像の授業はあるんですけど、自分でテーマを決めて作品を撮る、独学に近いものだったので、今回は新しく学ぶことばかりでした。

●これからの将来にどう活かしていきたいか。
――今回、映画の撮影に関わらせてもらったことで、映像への知識や興味がさらに深まりました。将来は、テレビの映像や映画撮影などの現場にいけたらいいなと思っています。今はまた本広監督の撮影の下でお手伝いをされている方の手伝いをさせてもらっています。最近、舞台の方で僕が一眼レフのカメラを持っているので、写真を撮ってくれと言われています。これからも舞台や映像に関わっていく中で、今回、舞台とドラマ、映画での撮り方の違いなどを学ぶことができたのは大きいです。そして、今はノトスラボVol.10『ChamPle』の舞台監督をしています。これからも大学では舞台に関わりながら、隙あらば本広監督の下で映像も学んでいきたいと思います。そして、将来はみんなが足を運ぶ映画館で自分の作品を上演したいです。また、舞台でやっているお芝居とかの映像化が少ないと感じているので、映像にしたらどうなるんだろうという興味があります。

●映像作品に関わろうと思っている後輩へアドバイスやメッセージがあればお願いします。逢坂涼介くん
――動かないと何も始まらないですし、芸能界とか演劇とか芸術をやる人は動いた方が結果にはなるので、とりあえず行ってみた方がいいと思います。行ってみて違っていたらやめればいいし、とにかくその場所に行って体験して欲しいです。感じないと分からないので、合ってなければやめて、これだ!と思ったらまた色んなところに行けばいいと思います。実行してほしいです。
動けっっ!!

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『君と100回目の恋』公式サイト
 ・本学ロケ地について

『舞台と映像の面白さ』

社会学部(演劇コース) 伊藤快成くん
期間:9月9日~9月19日
場所:男木島
活動内容:さぬき映画祭2017『Lemon&Letter』出演

●参加しようと思ったきっかけは何ですか?
――メインヒロインの氏原さん(演劇コース3年生)が元々声をかけられていて、「他に出てくれそうな人いない?」と氏原さんが監督さんに言われて僕に声をかけてくれました。僕は映像や映画に興味があったので、出てみたいと思いました。映像作品に参加するのは今回が初めてです。

●『Lemon&Letter』ではどういう役で出演しましたか。伊藤快成くん
――監督さんがよく言ってたのは、『Lemon&Letter』は男木島と子どもたちの青春と成長の物語ということでした。主人公やヒロインがどんな悩みや不安を抱えて成長していくのか、子どもの頃からの8年間を描いています。そうして高校の進路を決める時、将来どういう道に進むのか、ということがメインになります。
初めての映像作品で、僕は主人公の友人中村裕也役として出演しました。僕の役は、こういう役で、とは言われてたんですけど途中で何回か変わって、最後にもまた変わるかもしれないと言われていてあまり定まってなかったです。とりあえず台詞だけは決まっていたのでこの台詞はどんな風に読んだらいいんだろうとパターンだけは考えて、本番やる時に「こういう風にしてください」と言われたものに一番近いパターンで演じられるようにしていました。それというのも、元々僕が演じた友人役の中村裕也は存在しなかったんです。僕が参加する、ということになって新しくシナリオに追加された役だったので、そのキャラクターを主人公のライバル役として置くのか、主人公の良き理解者として置くのか、どういう立ち位置に置くのかを監督と延々話し合っていました。僕の友人役は、主人公の高校のクラスメートとして、進路について視点を持っていく役割になりました。僕がどうしたいか、ということも聞いてくれて、全体的に監督さんもカメラさんもキャストの話をわりと反映してくれていました。

●男木島での撮影はどうでしたか。
――僕は男木島に行ったことがなかったんですけど、行ったのがちょうど夏だったのでとても暑かったです。猫がいっぱいいたので、撮影中も猫が歩いていました。他の島には行ったことがあるので、島の感じが分からないっていうことはなかったんですけど、行ってみるとやっぱり男木島には男木島特有の個性があって、その日獲れたサザエを食べたりして、みんな山とか海に寄り添った自然に近い生活をしていました。実際に男木島に行って雰囲気を味わって、こういうものなのか、と僕の中のイメージとすり合わせできる感じが楽しかったです。伊藤快成くん
撮影期間中は、男木島の民宿にみんなで泊まっていました。ご飯は、どこかへ食べに行ったり、漁師のおじさんが獲ったタコを食べたりしてましたけど、ほとんどが自炊でした。男木島にはスーパーがなかったので、買い物が一番大変でした。船で高松まで行って、20人分の食材を持って帰らないといけなかったので、本当に大変でした。
香川の男木島が舞台の作品なので、どうしても喋るのは香川の方言になります。主人公を演じた俳優の品田さんは北海道出身なので、香川の方言が難しいということを言っていて、僕たちの方言を聞いてチェックしていました。方言のイントネーションの違いなどは役者をやる上でみんな通る道だと思うので、やっぱり難しいんだなと感じました。僕も愛媛県出身で、香川に来た時は「えらい」という言葉の意味がよく分かっていませんでした。友達に「今日のバイトえらかったよな」と言われて、「しんどい」という意味ではなく「偉い」だと思っていたので何を言っているんだろうと思ったことがあります。東京とかの大学に行くとみんな標準語で喋ろうとしますけど、四国学院大学だと友達や周りの人は方言のまま喋っていて、それが耳に残ってイメージしやすいので、有り難い環境だなと思いました。

●映像と舞台の違いはどういうところで感じましたか。
――演劇コースで舞台をしていて、映像作品に参加して思ったのが、やっぱり同じ演技でも求められている演技の仕方が違うなと感じました。舞台はひとつの流れの中で気持ちも盛り上がっていくんですけど、映像は「アクション!」とカチンコを鳴らされたらすぐにパッとその役に切り替わらないといけません。それがなかなか新鮮で、慣れるまでに時間がかかりました。
撮影中は、とにかく噛まないように気をつけました。喋っていて、何を言っているのか分からないというのが一番映像作品としては問題があると思うので、できるだけ聞こえやすいようにとか、カメラの位置によってどういう風に映してほしいというのもあるので、その要望に沿った映り方ができるように、ということにも気をつけました。普段の舞台ではカメラはないので、そっちに意識がいってしまうこともありました。
四国学院大学では、僕ら学生がする舞台以外にもいっぱい舞台をしています。こんなに頻度が高くて学生が500円くらいで舞台を観る機会なんて、なかなかありません。色んな舞台を観ることで、知識や自分にないものを得られるし、自分で舞台をしてみて映像とは声の出し方も違うなという発見もありました。やっぱり映像だけじゃなくて舞台もしてみることで、その違いとかがよく分かってきて、違いが分かるからこそメリハリがつけられるようになりました。舞台の時はとにかくお客さんに届くように通る声を意識するんですけど、映像は小声で喋ってもマイクが拾ってくれるので、自分が出したい声の感じとか、やりたい演技を意識します。舞台のプロの方はそういう演技についても意識していると思うんですけど、まだ僕はそういう技術が身についていないので、映像で演技だけに集中できたのは有り難かったです。
伊藤快成くん
●新しい発見や学びはありましたか。
――友人役ということもあり、品田誠さんとは、撮影の間ずっと一緒でした。初対面の人とは思えないくらい仲良くさせていただきました。旅行の話をしている時に、違う文化や方言、外国にしても、「新しいものに触れることで自分になかったことが見つけられる」という話を聞きました。他にも、オーディションが大変だったとか、自分で作品を創ったりしている方なので実際東京でやってみてどうだったかとか、CMにも出演されている人なのでCM撮る時はまた映画とは感じが違うとか、有り難い話をたくさん聞けました。
映像に興味があって、出てみたいとか、撮影の現場はどんな感じなんだろう、とか前はけっこう思っていました。実際に参加してみて、カチンコに触ってみたり、カメラで撮る時はどういうところを意識するんだろうとか、現場に触れてみて、生で得られる情報は自分のイメージとか聞く話とかと全然違っていて、百聞は一見にしかずだなと思いました。とにかく得られる新鮮なものが多かったです。地方映画ではあるんですけど、色々な現場で活躍しているカメラマンさんや照明さんが集まっているので、他の現場での話も聞くことができて、知識として知っていたものがリアリティを増したというのが一番大きいです。ハリウッドで撮影していたカメラマンさんがいて、ハリウッドでの話を聞けたことも面白かったです。

●今回の『Lemon&Letter』出演を通して、自分自身で成長できたと思う部分はありますか。
――僕が演じた中村裕也は、けっこう僕の性格とは違う役だったんですけど、この役をやってみて、自分の性格とは違うけどこれもこれで僕の新たな一面なのかな、というのは発見でした。抜けてるというか、勘のいいキャラクターではなくて、「え、それ言っていいの?」というような台詞を言ったりするんですけど、逆に気付かないふりをしてこういう言い方をするのもアリなのかなと思いました。僕はわりとせっかちな方なんですけど、このキャラクターはのんびりしていて、のんびりのキャラ作りとかもしてたので、こういう考え方とかこういう暮らし方とかも悪くないなと思って、前よりものんびりできるようになったと思います。

●演劇コースで学んでいることは今回の出演にどう活かされたと思いますか。
――やっぱり、演技の感じは違うんですけど、違う役をするとか、相手に合わせて会話を進めていくとか、そういうところは舞台と通じるものがあります。演劇コースで演技をちょっと学んでおいたから「ここではこういう演技なのかな?」と引き出しが増えたかなと思います。照明は映像の方でも使っていて、舞台の方で照明について勉強していたので、照明をお手伝いさせていただく時にその知識が役に立ちました。役をしていない時は、照明とか、レフ版とかを持って、できることは全部していました。

●これからの将来に今回の経験をどう活かしていきたいですか。
――今回、映像作品に関われたことで、映像作品について全部分かった訳ではないんですけど、こういう風に撮るんだとか経験できたことが一番大きいです。脚本をやってみたり、カメラをやってみると、役者とは違う視点で作品を観ることができるので、演技者としての表現の幅も広がるとは思うんですけど、まだ半人前なのでまずは演技力を磨いていきたいと思います。
これから、2年生だけで作品を創ってみたいという話をしています。卒業するまでに外部での活動や映像作品にもできるだけ関われたらな、と思っています。

●今後、外部での活動や映像作品への出演を考えている後輩へアドバイスやメッセージがあればお願いします。
――とりあえず、オーディションにしろ、声がかかっているにしろ、一回やってみたらいいと思います。やってみて損をすることはないと思います。映像だと普段自分がいるところとは別の場所なので、新鮮なことばっかりだと思います。演劇もそうですけど、なかなか人前で演技をするというのは最初抵抗があると思うんですけど、その抵抗がありつつ自分の出したい役を出した時の爽快感があるから役者をやっているという人は多いと思います。映像にしろ、舞台にしろ、楽しいというだけで続けている人はなかなかいないと思います。それこそ稽古が大変だったり、自分が求められている演技ができなかったりして、辛いと思うこともけっこうあるんですけど、舞台とかで人前やって拍手とかを浴びてそういう辛さとかが全部チャラになって認められる瞬間があって、やっぱりその瞬間に取り付かれてやってるんじゃないかなと思います。辛さとか楽しさとか全部含めて、演劇、映像は面白いというところまで見てもらえたら、もっと演じることに興味をもってもらえるんじゃないかなと思います。
伊藤快成くん
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さぬき映画祭2017
*映画『Lemon&Letter』Facebookページ
<あらすじ>
男木島出身のカメラマンを父に持つ主人公の(海斗・少年)~病気を患う母の希望もあり、祖父が漁師をする島に家族3人で帰ってくる~海斗少年が、小学5年の夏、東京から島にある親子が移住してくる。海斗と同じ学年の女の子(夕)~少年・少女の成長とともに繰り広げられる。島で暮らす家族と、海斗と夕の初恋成長物語を描いた映画作品。

本学の非常勤講師梅木佳子さんが企画・脚本・監督を、演劇コース3年氏原恭子さん、演劇コース2年伊藤快成くんが出演しています。

『出会いとつながり』

社会学部(演劇コース) 田中良季くん
期間:7月~10月
場所:栗林公園 商工奨励館
活動内容:瀬戸内国際芸術祭2016 指輪ホテル「讃岐の晩餐会」出演

●参加しようと思ったきっかけは何ですか。
――大学1年生の時、非常勤講師のカミイケタクヤさんに「美術を手伝ってくれない?」と声をかけられて、瀬戸内国際芸術祭2013の直島での指輪ホテルの作品に一ヶ月間お手伝いとして参加しました。木を切ったり、海を泳いで碇を下ろしたり、色々と手伝いをさせてもらいました。海が舞台だったんですけど、海の上に電話BOXを置いたり、船が来たりして、すごい技術だなぁと思って、自分の中ですごく新しかったです。それがすごく面白くて、指輪ホテルの世界観も不思議でした。今回、指輪ホテルが出演者を募集していると聞いて、これも何かの縁だろうなと思って、3年越しに今度は役者として参加したいなと思いました。

●「讃岐の晩餐会」での役は何でしたか。
――僕は旅人の役で、僕の旅人視点から言うと、讃岐の晩餐会はどこにあるんだろうということから始まって、山の向こうから来る人間に化けている一族の行列と出会います。そして、讃岐の晩餐会に連れて行ってもらうことになって、ついて行くんですけど、八咫烏のお父さんが山からのお告げで今日は神様が交代する日で次の神様は自分の奥さんだと知って、ハイエナのお母さんは次の神として山にいかなければならなくなります。一族みんなお母さんについていきたがるんですけど、山について行ってはいけないので、お父さんに頼まれて旅人が一緒に山へ行き、旅をして、旅人は最後に讃岐の晩餐会へ戻ってきてご飯を食べる、という流れで物語は終わり、お客さんをお食事へと案内します。旅を終えた人が食べに来るのが讃岐の晩餐、という感じです。
旅人を演じる時に、自分の中のキャラクターというか、旅人の役というか、はっきりさせる部分ははっきりさせておこうと思っていました。でも、話が曖昧な部分は、各々の解釈の仕方もあるので、曖昧なままで演じました。旅人はおっちょこちょいで、活発であったり、お調子者であったり、作中では「ひょうげな」という表現が使われていました。僕自身、お調子者なところがありますけど、やっぱりちょっとコミカルに、オーバーにアクションしたりしていました。

●「讃岐の晩餐会」に出演してみてどうでしたか。指輪ホテル「讃岐の晩餐会」
――前回参加した時もなんですけど、やっぱり野外公演は天候に左右されます。野外は声が反響して響かないので、できるだけ大きく喋って全員に聞こえるように発声にはけっこう気をつけました。季節の変わり目だったり、気温だったりで、栗林公園での感じ方が全然違っていました。同じ作品ではあるんですけど、山から煙玉で煙を出して、それをお客さんと一緒に発見して「見つけた!」というシーンでは、その煙が見えるか見えないかで台詞が変わるので、毎回緊張しました。それに、毎回お客さんは当然変わるので移動の時も、お客さんの流れ方が違っていました。人の関心の向き方だと思うんですけど、真っ直ぐ来る人は演者の方たちに目がいって案内されていて、バラバラと歩く人たちは栗林公園の自然とかそういうものに目を向けて歩いていたのかなと思います。演技としては変わりないんですけど、お客さんに左右されるというか、お客さんに同調するというか、お客さんと作り上げるものが毎回違いました。
7月から10月の公演期間で、10月に久しぶりに同じ「讃岐の晩餐会」の舞台に立った時は、戻ってこられた、という嬉しい気持ちがありました。旅人の役は山にハイエナの奥さんと一緒に行くんですけど、色んなところを旅して、最後に「また讃岐の晩餐会に食べに行く」というような台詞があって、僕自身「讃岐の晩餐会」に帰ってきた時は、旅人のように他の舞台に参加したことで色んなものを見て、そしてまた「讃岐の晩餐会」に帰ってきたので、役の気持ちがよく分かりました。

●新しい発見や学びはありましたか。
――野外で、自然の中でやっていると山がどっしり構えていて自分が未熟者に思えてきたり、夏は暑いし秋になると風は冷たいしと、こんなにもろに環境に影響を受ける舞台は初めてで、こういう風になるんだ、というのは発見でした。夏に咲いていた花が秋には枯れていたり、陽射しの強い夏から秋の物悲しい雰囲気に変わっていったりと季節の変化も感じました。最後に歌う歌が秋の季節に合ってしんみり聞こえるようになってきて、同じ歌でも季節が変われば感じ方が違うんだなと思いました。
また、プロでやっている方の演技の仕方には人それぞれ差があるんですけど、差があって当たり前で、差があっていいんだなと感じました。声が通っている人にはどうやっているのか聞いたり、ダンサーの方とかにはどういう経緯でダンサーになったのかとか、プロの方と出会えて、そういう話ができたことは自分にとって大きな学びでした。やっていることは東京でも大阪でも変わらなくて、地方で活動している方たちの力をすごく感じました。だから、どこで続けてもずっと活動していけるんだなと思いました。
僕自身については、この空間だったらどれくらいの声の大きさで話せばいいか、どういう風に声を出せば後ろのお客さんまで届くのか、といったことを前よりも考えるようになりました。どういう小さい声を出しても、まだすべてのお客さんまで届かせる技術が自分にはない、ということも分かりました。

●今回の公演での経験をこれからの将来にどう活かしていきたいですか。
――普段、室内でやる公演は風とかを感じません。今回、野外公演で実際に風を感じる中で演じたことで、室内公演で風を感じる台詞とか、音を感じる台詞とかを演じやすくなりました。車の音とか、クラクションの音とかが公演中に鳴っていたので、違う突発的な音とかにパッと向く演技にも使えるかなと思います。外でやることによって情報量が多かったので、様々な状況をすごく想像しやすくなりました。
それに、大学外の公演に参加することによって、新しいつながりが広がっていくのは嬉しかったです。

●演劇コースで学んでいることはどう活かされていると思いますか。
――役者はその公演の舞台の中で、自分がどういう気持ちでその瞬間を歩いていたりお客さんを呼んでいるのかとか、ひとつの出来事をどう見ているのかとか、状況を理解していきます。普段の会話だったら状況理解はしないし台本も存在しません。それをどうやって自分の中で処理していくのか、こういう状況だからこういう感じかな、ということを台本をもらった時に探れるようになりました。こういうことは高校を卒業して、大学に入って1年生の時とかはなんとなくやっていただけだったんですけど、それをもう少し自分の経験に近づけることができたと思います。「でも」とか「だけど」とか、こういう言葉って気持ちが切り替わってるんだろうなとか、「あっ!」とか気付く時もどういう発見の仕方なのかとか、そういう表現を自分の中の経験から探り出していけるようになりました。これは、演劇コースで色んな公演に立つ中で、先輩とかプロの方に聞いたり、演劇WSなどを通してためになったことだと思います。演劇WSでは、「あぁそういうことか」と思うこともあったり、「どういうことなんだろう」と疑問に感じたり、単純に「面白い」と思ったり、「自分だめだな」と反省したりして、様々なことを学んでいきました。やることを言われてやるんじゃなくて、やっぱりやっているうちに自分はこれをやっているけどこれをやっている自分に今何が起こっているんだろう、ということを考えたり、やってる最中やこうしたらどうなんだろう、と演劇WSをただ受けるだけじゃなくて自分で発見していったり、自分の考えをプラスしていくことがいいんだなと思いました。

●大学外の公演に参加したいと思っている後輩へアドバイスなどがあればお願いします。田中良季くん
――できるなら1年生とか2年生のうちからオーディションとか受けた方がいいんだろうなと思います。1年目はまだ未熟過ぎるとは思うんですけど、挑戦はして欲しいです。四国学院大学の演劇コースがどういうものか分かってくると思うので、そこで学んで、どんどんオーディションを受けて欲しいと思います。演劇コースで学んでいることや作業していることは、実際に現場で使えるものばかりだと思います。学んだことや自分が発見だと思ったことは紙に書くことも大切です。
外部の公演は、プロの方や地域でやっているアマチュアの方とか、良い経験を持っている方ばかりなので、練習方法とかを自分から質問してみてください。聞いていくだけでもつながりになって、それがまた違うつながりになることもあると思います。実際、僕も演劇コースや今回の公演のつながりで来年の4月、東京で舞台に立たせていただけることになりました。
是非、つながりを作ってください!

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瀬戸内国際芸術祭2016「讃岐の晩餐会」
特別名勝栗林公園で、指輪ホテルによるパフォーマンス鑑賞と、県産食材を使った食事を楽しむ、芸術祭の旅の締めくくりにふさわしい贅沢なツアーイベント。

物語は、讃岐の晩餐会を探す旅人が人に化けたとある一族の行列と出会うことから始まる。一族の当主は、山からのお告げで自分の妻が次の山の神になることを知り、ついていけない自分たちの代わりに旅人に山へついて行ってほしいと言う。そして、旅人は日本中、世界中を旅する。

指輪ホテル
指輪ホテルは、羊屋白玉が、劇作と演出、ときどき俳優をつとめる「作品の連続体」である。

『初めての野外公演で』

社会学部(演劇コース) 荒川真由さん
期間:7月~11月
場所:栗林公園 商工奨励館
活動内容:瀬戸内国際芸術祭2016 指輪ホテル「讃岐の晩餐会」出演

●参加しようと思ったきっかけは何ですか。
――この大学に入って、1年生の後期のSARPに関わらせてもらって、そこでプロの方たちとお芝居を作るのが面白い、楽しい、ということに気がつきました。それから色んなお芝居を見たいし、出たいという欲がすごく出てきて、4月の終わりごろに指輪ホテルの羊屋さんと瀬戸芸の担当者の方が大学で説明会をするっていうのを聞いて、もし参加できるなら参加したいから行ってみようと思いました。実際どんな作品を作ろうと思っているのかとかを説明会で聞いて、行きたいなと思ったのがきっかけです。説明会では、過去の瀬戸芸に参加した時の作品のダイジェストとか違うところでやった作品の映像を見せてくれました。指輪ホテルの作品って、すごく独特のファンタジー感といいますか、人がそんなに出てこない作品が多い印象が私の中にありました。それに、野外での公演が多いということもあって、野外公演をしたことがなかったのでやってみたいなと思ったこともきっかけです。

●「讃岐の晩餐会」はどういう作品ですか。
――昔は神社とかでのお祭りの時に練り歩く行列みたいなものがあって、日が暮れてからそのままお食事に、という流れがあったらしいんです。それを「讃岐の晩餐会」でもやりたいということで、パフォーマンスの後にはお食事のコースが設定されていました。お食事につながるようなパフォーマンスであるものの、パフォーマンスはパフォーマンスで完結して、指輪ホテルらしいファンタジー感もある作品です。登場人物が旅人以外みんな人ではないんです。ストーリーは、人間に化けたとある一族たちが行列をつくっていて、当主のお父さんが山からのお告げでお母さんが新しい山の神様になることを聞いて、お母さんが山へ行くことになるところから始まります
私は、お母さんの娘役で出演しました。娘は春夏秋冬のお花四姉妹といわれていて、私は三女で秋の役をしました。演じる時は、他のお花役の人たちが引っ張っていってくれるので、それについていく感じでした。お花たちが島を産むシーンがあったんですけど、私はお花チームの最年少で、他の方たちは出産を経験している年代の方なのですごくリアリティがあって、見ていてすごいなと思いました。
指輪ホテル「讃岐の晩餐会」
●初めての野外公演ということですが、やってみてどうでしたか。
――自分で変わったなと思ったのは、声が大きくなりました。指輪ホテルに関わる前に出た稽古で、すごく声が小さいと怒られたことがありました。でもなかなか発生練習をする時間もなくて声が大きくなることはなかったんですけど、「讃岐の晩餐会」に出て、野外公演だから風によって声も流されてしまうし、雨が降ったら絶対声が響かないので、だんだん声が大きくなっていって、夏会期が終わる頃には自分でも大きくなったなと分かるくらいになりました。声が小さいとよく怒られていたので、声が大きくなったことは自信につながりました。
天気とか風の流れとかで演出上の仕掛けが見えたり見えなかったりするのは、野外公演の面白さだと思います。雨が降っても傘をさす訳にはいかないので、滅多にないびしょ濡れになるという経験をしました。やる前はびしょ濡れになるし大丈夫かなと思ってたんですけど、わりと楽しかったです。雨バージョンと普通のバージョンだと色々変更点があるので、違うところに新鮮さがあって面白かったです。
今回の「讃岐の晩餐会」は、演じる場所が商工奨励館から隣の芝生広場、中庭、と言う風に変わっていくので、お客さんも一緒に回って、最終的に商工奨励館へお食事に送り出すという流れになっています。その移動の時に生演奏が流れるんですけど、演奏の形態や演奏する場所などが普通のバージョンと雨の日では全然違うので、違うところから音が流れてくるのが面白かったです。

●演劇コースで学んでいることがどう活かされていると思いますか。
――今までノトスの公演では美術とか当日制作とかしかやってなかったんですけど、美術でやっていたこと、授業で教わる音響や照明のことを指輪ホテルの方でも役立てたと思います。指輪ホテルの音響の手伝いとか仕込みをやっていて、「舞台技術基礎」での音響の授業は活かされているな、と思います。ケーブルの引き方とかもそうですけど、授業でやったことを踏まえて指輪ホテルで新しく学ぶことが多くありました。

●今回、指輪ホテルの作品に関わって、よかったことは何ですか。
――今回、瀬戸内国際芸術祭には初めて参加しました。プロの方と役者としてご一緒できる機会はなかなかないので、それもよかったと思うんですけど、何よりも香川で頑張る演劇が好きな人たちと知り合えたのがすごく大きいです。公演中、飲み会などもあったので、「讃岐の晩餐会」に参加されている方と、距離は近くなったと思います。ノトスの方は基本的に年代が同じなのですごく居て楽しいんですけど、今回のような劇団になると色んな年代の人が集まっているので同じ話を聞いても人によって理解の仕方が違うこともあって、ノトスにいるだけでは聞けない話を色々聞けたので、面白かったです。

●新しい発見や学びはありましたか。
――「讃岐の晩餐会」に関しては、本当に何もないところからの参加だったので、最初の稽古はワークショップみたいなものでした。こういうのをやりたいっていうのを渡されて、それを元に何人かでチームを作って自分たちなりにやってみて、そうして試行錯誤しながら作っていったものが演出家さんの頭の中で指輪テイストになって出てきたっていうのがすごく面白かったです。
初めての野外公演で、自分が暑さに弱い体質だということが分かったので、ちゃんと自分の体調と向き合えるようになったのと、役者だけじゃなくてスタッフワークができることも大事なんだなと思いました。指輪ホテルの演出家さんに「役者だけじゃなくてスタッフもできた方がいいよ」と言われて、それはどこに行ってもそうだと思いました。実際役者をやった時にどう動けばいいのかも分かるだろうし、スタッフワークがそれなりにできるようにしないといけないなと思いました。
指輪ホテルをやっている夏休みに「ライブ・パフォーマンスの世界」の授業を取ってみて、台本を実際にやってみて演出の人から「こういう風にしたらどう?」言われたことを昇華するのに私は時間がかかる、ということに気付いて、それをどうやったら解消できるのか、ということをプロの方に教えてもらいました。自分が理解しきれていないところに対して「ここはこうして」と抽象的な表現で言われた時、役者が考え込んでしまう訳にはいかないので、それに対応するためには自分の中にいくつかの引き出しを用意しておかなければいけないよ、というアドバイスをもらいました。野外公演なので、稽古通りにいかないこともあるので、そこはわりと臨機応変に対応する力はついたんじゃないかと思います。

●これからの将来にどう活かしていきたいですか。
――人じゃないものを演じる機会はなかなかないので、そういうところで表現力は多少ついたのかなと思います。それをこれからの舞台にどうやったらうまく活かせられるのかとかはまだ頭の中にないので、今後模索していけたらと思います。

●公演への出演を考えている後輩へのアドバイスやメッセージがあればお願いします。荒川真由さん
――私がこの大学に来たのは、色んなプロの方に関われるっていうのが大きくて、無理矢理東京とかに出て行って活動しててもワークショップをしていない先生とかもいるので、ここは比較的コネを作りやすいと思います。
だから、積極的に参加した方がいいと思います。

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瀬戸内国際芸術祭2016「讃岐の晩餐会」
特別名勝栗林公園で、指輪ホテルによるパフォーマンス鑑賞と、県産食材を使った食事を楽しむ、芸術祭の旅の締めくくりにふさわしい贅沢なツアーイベント。

物語は、讃岐の晩餐会を探す旅人が人に化けたとある一族の行列と出会うことから始まる。一族の当主は、山からのお告げで自分の妻が次の山の神になることを知り、ついていけない自分たちの代わりに旅人に山へついて行ってほしいと言う。そして、旅人は日本中、世界中を旅する。

指輪ホテル
指輪ホテルは、羊屋白玉が、劇作と演出、ときどき俳優をつとめる「作品の連続体」である。

『制作の基礎を学ぶ』

社会学部(演劇コース) 金城七々海 さん
期間:8月22日~8月31日
場所:鳥取 鳥の劇場
活動内容:舞台芸術実習Ⅰ

●実習前、事前準備などは何をしましたか。
――去年、鳥の劇場に実習に行った先輩に話を聞いたりしました。去年は「鳥の演劇祭」に関わって、とても忙しかったみたいです。今回の実習は「鳥の演劇祭」ではなく、「BeSeTo演劇祭」に関わるということで、行く前には「BeSeTo演劇祭」のチラシなどの資料を見ました。

●実習では、どんなことを学びたいと思っていましたか。
――高校生の頃、役者として地域の舞台に立っていたことがあるんですけど、その時の舞台制作のスタッフさんがすごくかっこよくて、私も舞台制作に関わりたいと思うようになりました。大学に入って、私は今演劇コースで舞台制作を担当しています。舞台制作には、舞台の運営から広報、当日の受付まで舞台に関わる様々な仕事があります。だから仕事量がすごいんですけど、その分やりがいがあって、とても楽しいです。もっと舞台制作について学びたい、と思っていたので、プロの舞台制作現場が見られる今回の実習はとても楽しみでした。%e4%b8%89%e9%87%8e%e5%8f%af%e5%8d%97%e5%ad%90%e3%81%95%e3%82%93

●実習では、どんなことをしましたか。
――今回実習で関わった作品は、韓国の劇団ティダと鳥の劇場の共同制作公演『詩の教室』です。実習では、舞台美術のお手伝いをしたり、部屋の床に板を張ったり、稽古場の見学をしたりしました。一回だけ、障害者の方と鳥の劇場の方でつくる自由劇場の稽古場を見学させてもらいました。普段だったら台本がしっかり決まってますけど、自由劇場には台本がなくて、みんなで作品を作り上げていきます。流れだけを先に決めて、出ている人がどういう風に話をつなげてもいいんです。だから毎回流れは同じなんですけど、話していることが違ったりして、とてもおもしろかったです。

●新しい発見や学びはありましたか。
――参加させてもらった、「海をつうじて行き交うもの 異なるものとの交流が未来をひらく」というタイトルのシンポジウムで、来場者の集計の仕方などを見ることができました。どんな年代か、男女どちらが多く来ているのか、などどういった情報を得たいのか、ということがスタッフさんの間で話し合われたりしていました。集計は、配布したアンケート用紙の枚数や事前予約、当日券などの情報から年齢別、男女別などで出していきます。今回のシンポジウムの来場者は、ご年配の男性が多かったようです。また、ポップ制作の時には、どのフォントが見やすいか、など基本的なことを教えてもらいました。

●これから、この経験をどう活かしていきたいですか。
――私は、大学でパフォーミングアーツ研究所SIPAと一緒に制作に関わっているんですけど、今後、ノトスのFacebookやTwitterなどのSNSをちゃんと更新していきたいと思いました。SARPやシアタータンクについては基本的に学生がSNSを担当していて、今年から頻繁に更新していこう! と決めていたんですけど、それができていたのが2ヶ月くらいで。最近途絶え気味だったんですけど、今回の舞台実習で制作の方の仕事をみていて、これからは頻繁に更新したいと思いました。チラシ配りや舞台の広報面でも、今回の実習での経験を活かしたいです。
私は将来、できれば舞台制作に関わるお仕事がしたいと思っています。でも、今回の実習で基礎的なことを学べたと思うので、もし企業などに就職して演劇関係に進まなかったとしても、今回の経験は役に立つと思います。

●実習に行く後輩へアドバイスやメッセージなどあればお願いします。
%e9%87%91%e5%9f%8e%e4%b8%83%e3%80%85%e6%b5%b7%e3%81%95%e3%82%93――私は、今回の実習で、舞台制作の基本的なことを学ぶことができました。舞台稽古や制作の現場を見ることができて、本当に楽しかったです。
私は制作に関わっているなかで、仕事量が多くて大変だし、何度も制作をやめよう、と思ったことがあります。それでも、やっぱり楽しくて、また次も制作に関わっている自分がいます。
だから、実習だけでなく、自分がやりたいことや好きなことは、簡単にあきらめずに頑張って、楽しんで欲しいと思います。

鳥の劇場について
2006年1月、演出家・中島諒人を中心に設立。鳥取県鳥取市鹿野町の廃校になった幼稚園・小学校を劇場施設へ手作りリノベーション。収容数200人の“劇場”と80人の“スタジオ”をもつ。劇団の運営する劇場として、「創る」・「招く」・「いっしょにやる」・「試みる」・「考える」の5本柱で年間プログラムを構成。現代劇の創作・上演と併行して、ワークショップ、優れた作品の招聘、レクチャーなどを実施する。
(鳥の劇場HPより)

『舞台の裏側で』

社会学部(演劇コース) 三野 可南子さん
期間:8月22日~8月31日
場所:鳥取県 鳥の劇場

●「舞台芸術実習Ⅰ」の実習について教えて下さい。
――私は、鳥取県の「鳥の劇場」へ舞台芸術実習に行きました。高校の頃から役者志望として、大会に出す作品や学校で短い作品の公演をしていたんですけど、舞台の裏側の仕事はあまり見たことがありませんでした。なので、今回の実習では、裏側の仕事について見て、体験しようと思い参加しました。

●実習ではどんなことをしましたか。
――私が実習中に関わった作品は、9月14日から10月10日まで開催されるBeSeTo(ベセト)演劇祭のプログラムのひとつ、韓国の劇団ティダと鳥の劇場の共同制作作品『詩の教室』です。『詩の教室』の上演は10月9日と10日だったので、上演に向けた準備期間での実習でした。実習では、衣装の片付けをしたり、シンポジウムの仕事に関わらせてもらったりしました。8月27日に行われたシンポジウムは、「海をつうじて行き交うもの 異なるものとの交流が未来をひらく」というタイトルで、鳥取で有名な妖怪からさまざまな形のつながりを語る、というものでした。私は、そのシンポジウムでBeSeTo演劇祭を紹介するためのチラシのセットアップをしました。%e4%b8%89%e9%87%8e%e5%8f%af%e5%8d%97%e5%ad%90%e3%81%95%e3%82%93

●実習を終えての感想を聞かせてください。
――実習前、先輩からはけっこう大変だよ、と聞いていたんですけど、実際はとても楽しく取り組むことができました。舞台製作や宣伝をしてくれている人がいるからこそ、舞台を観に来てくれる人がいる。実際に舞台の裏側で、製作や宣伝に関わっている方たちを見て、改めて「すごい!」と感じました。

●何か変化はありましたか。
――私は、テレビを見るのが大好きで、中学3年の時からテレビに出る仕事がしたいと思っていました。だから、舞台というよりもテレビ関係で役者の仕事がしたいと考えていたんですけど、今回の実習を通して舞台の裏側を知り、その楽しさを感じられたので舞台関係の仕事も視野に入れていきたいと思うようになりました。

●実習に行く後輩へのメッセージなどあればお願いします。
%e4%b8%89%e9%87%8e%e5%8f%af%e5%8d%97%e5%ad%90%e3%81%95%e3%82%93――実習先は毎回変わるみたいなんですけど、私の場合は舞台の裏側を体験し、発見することを目標として実習に臨んだので、色んな体験すべてを楽しんで実習することができました。これから実習に行く人にも、自分の目標を持つことが大事かなと思います。

鳥の劇場について
2006年1月、演出家・中島諒人を中心に設立。鳥取県鳥取市鹿野町の廃校になった幼稚園・小学校を劇場施設へ手作りリノベーション。収容数200人の“劇場”と80人の“スタジオ”をもつ。劇団の運営する劇場として、「創る」・「招く」・「いっしょにやる」・「試みる」・「考える」の5本柱で年間プログラムを構成。現代劇の創作・上演と併行して、ワークショップ、優れた作品の招聘、レクチャーなどを実施する。
(鳥の劇場HPより)

『私を変えた、二ヶ月間』

社会学部(演劇コース) 太田久美子さん
期  間:7月29日~9月27日
場  所:東京都(こまばアゴラ劇場)、兵庫県(城崎国際アートセンター)
活動内容:インターン(高校演劇サミット、「MONTAGNE/山」など)

●インターンに行こうと思ったきっかけは何ですか。
――平田オリザ先生から、インターンの話をいただいたことです。私は、演劇コースで制作を担当しています。制作について、4年間演劇コースで学んできたことを活かしながら、新しいことを学びたい! と思い、インターンに参加しました。

●インターンではどんなことをしましたか。
――最初の1週間は、東京のこまばアゴラ劇場で高校演劇サミットに参加し、公演の受付等の手伝いをしました。高校演劇サミットでは、高校生に対して、舞台を使う時の注意点や音響や照明、制作など一通りの説明がありました。高校の演劇には制作というポジションがないみたいで、制作の仕事について伝えるためのものでもありました。このサミットで、制作以外の音響や照明についてもある程度知っていたらもっと楽しいだろうな、と思いました。一応、大学のノトスプロダクションに3年まで所属していたのですが、私はやはり制作がしたかったので、音響や照明など舞台の仕込みにはあまり入っていませんでした。でも今回、実際に経験してみて、光の力とか音の力というのは、舞台を引き立たせるもののひとつなんだな、と実感しました。ドアを開ける時、「ガラガラ」というドアの音と役者が手をつけるだけでそこにドアがあるかのように見えたり、照明によって、異変が起こったことを表現することもできます。様々な照明の色や、スモークマシンを使うと光が舞台上でどのように見えるのか、といった演出方法なども見せてもらいました。今まで授業でさらっと聞いていたので知識としては知っていましたが、改めて実際に見てみると「なるほど」と理解できる部分が多くありました。
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次の約1ヶ月半は、兵庫県と東京で青年団とフランス人演出家トマ・キヤルデによる日仏の国際共同プロジェクトで上演される『MONTAGNE/山』という作品に関わらせてもらいました。この作品は元々フランスで上演されていた作品で、日本で上演するために台本を書き直すところからはじまりました。滞在制作が兵庫県の城崎国際アートセンターで行われ、リサーチ期間の1週間は、日本らしい台本に書き換えるため、山に関係する人に話を聞いたり、お寺の住職さんに話を聞いたり、植村直己の冒険館に行ったりしました。私は今まで山のことを知らなくて、リサーチから関わったことも初めてだったので、知らない世界をたくさんみることができました。たとえば、山へ入る時は、山に挨拶をすること。それは、自分が今から山に入ることを知らせるためだったり、動物たちに人間が歩いていることを知らせるためだったり、自分の身を守るためだったりするようです。山への挨拶という些細なことから、植村直己の生涯のことまで様々な話を聞いて、山って深いんだなぁと感じました。
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実はこの作品、フランスで上演した時は野外公演として、実際に山で上演されていたんです。でも、焚き火のシーンもあったので、日本で同じように山で上演することは厳しく、その舞台をどう再現するか、ということが話し合われました。劇場に木材を立てても、劇場は劇場にしか見えないので、岩は三角の厚紙に「岩」と書いたり、火も赤い紙に「火」と書く、といったようにすべてを紙で作ることになりました。私も一緒に小道具の制作に参加させてもらったんですが、俳優さんがどうやったらスムーズに演じられるのか、ということを考えていたので、これも作品づくりのひとつになっているのだなと感じました。

●学びたかったことを学ぶことはできましたか。
――今回、制作以外の様々なことを知り、学ぶことができました。そして、滞在制作の難しさ、外国人の方との共同制作の大変さを知りました。コミュニケーション面でも、通訳の方もいましたが、日常会話など英語がしゃべれたらもっと話せたのにな、と思うところがありました。
いつもノトススタジオで公演がある時は、制作としてやらなければならないことがたくさんあったので、稽古場にずっといて、稽古の様子を見る、というのも今回が初めてでした。制作として何かをつくるとかではなく、作品が徐々に出来上がっていくのをみるのがとても面白かったです。
今回のインターンでは、知りたい、と思っていたこと以上に知れたことが多かったです。
たとえば、チラシ配りではある程度やることは決まっていて、プラスどうしたらいいか、ということを後輩たちと話をしていたんですけど、城崎国際アートセンターの方とチラシ配りに同行させてもらった時、私たちの課題が見えてきました。私たちもチラシ配りに行く時は、ご飯処ではご飯を食べてチラシを渡すようにしているんですけど、城崎国際アートセンターの方は店の人たちに「いつもありがとう」と言われていて、その関係性の深さや距離の近さが違っていました。やっぱり、チラシを渡すためにお店に食べに行く、というのでは駄目で、いつも食べていて公演がある時にそれを会話の中で伝えられる関係って素敵だなと思います。

●今回の経験をこれからどう活かしていきたいですか。
―― 一つは、今回の「MONTAGNE/山」という作品に関わってみて、外国に行って、外国で作品をつくってみたいと思うようになりました。そのためにも、もう一回英語を勉強しようと思います。
もう一つは、こまばアゴラ劇場で受付の手伝いや物販などをしていたんですけど、青年団のスタッフさんのお客さんに対する声かけがすごかったです。当日券などのチケットはどこで半券を切るのか、という案内や、途中休憩がないから今のうちにトイレに行ってください、という声かけのタイミングなどがとてもスムーズでした。青年団のスタッフさんたちのように、ノトススタジオでもお客さんにちゃんと伝えられるようにしたいと思いました。
今回の経験を通して、劇場のあり方について知りたい、もっと他の文化に触れたい、と思うようになりました。今まで国際交流や外国の文化などにそんなに興味なかったんですけど、インターンに行く前と行った後で私の気持ちは大きく変わりました。
私は卒業後、演劇コースでのご縁もあり、今回インターンに行かせてもらった青年団に入ります。そこで、これからも演劇に携わり、制作をやっていきたいと思います。

●インターンを控えた後輩へアドバイスやメッセージなどあればお願いします。
――私にとって、インターンに行ったこの2ヶ月間は本当に良い経験になりましたし、とても充実していました。私は今まで制作のことしか知らなくて、今回他の音響や照明についても知りたいと思ったので、照明とか音響とか舞台のことを知っている人も、制作のことを知っていた方が、もっと楽しくなると思います。私はずっと、制作をやりたい、と思ってやってきました。だから、これがやりたい! という強い気持ちが大事だと思います。
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Toyooka Art Season 2016参加事業/青年団国際演劇交流プロジェクト2016
『MONTAGNE/山』
青年団HPより