『舞台と映像の面白さ』

社会学部(演劇コース) 伊藤快成くん
期間:9月9日~9月19日
場所:男木島
活動内容:さぬき映画祭2017『Lemon&Letter』出演

●参加しようと思ったきっかけは何ですか?
――メインヒロインの氏原さん(演劇コース3年生)が元々声をかけられていて、「他に出てくれそうな人いない?」と氏原さんが監督さんに言われて僕に声をかけてくれました。僕は映像や映画に興味があったので、出てみたいと思いました。映像作品に参加するのは今回が初めてです。

●『Lemon&Letter』ではどういう役で出演しましたか。伊藤快成くん
――監督さんがよく言ってたのは、『Lemon&Letter』は男木島と子どもたちの青春と成長の物語ということでした。主人公やヒロインがどんな悩みや不安を抱えて成長していくのか、子どもの頃からの8年間を描いています。そうして高校の進路を決める時、将来どういう道に進むのか、ということがメインになります。
初めての映像作品で、僕は主人公の友人中村裕也役として出演しました。僕の役は、こういう役で、とは言われてたんですけど途中で何回か変わって、最後にもまた変わるかもしれないと言われていてあまり定まってなかったです。とりあえず台詞だけは決まっていたのでこの台詞はどんな風に読んだらいいんだろうとパターンだけは考えて、本番やる時に「こういう風にしてください」と言われたものに一番近いパターンで演じられるようにしていました。それというのも、元々僕が演じた友人役の中村裕也は存在しなかったんです。僕が参加する、ということになって新しくシナリオに追加された役だったので、そのキャラクターを主人公のライバル役として置くのか、主人公の良き理解者として置くのか、どういう立ち位置に置くのかを監督と延々話し合っていました。僕の友人役は、主人公の高校のクラスメートとして、進路について視点を持っていく役割になりました。僕がどうしたいか、ということも聞いてくれて、全体的に監督さんもカメラさんもキャストの話をわりと反映してくれていました。

●男木島での撮影はどうでしたか。
――僕は男木島に行ったことがなかったんですけど、行ったのがちょうど夏だったのでとても暑かったです。猫がいっぱいいたので、撮影中も猫が歩いていました。他の島には行ったことがあるので、島の感じが分からないっていうことはなかったんですけど、行ってみるとやっぱり男木島には男木島特有の個性があって、その日獲れたサザエを食べたりして、みんな山とか海に寄り添った自然に近い生活をしていました。実際に男木島に行って雰囲気を味わって、こういうものなのか、と僕の中のイメージとすり合わせできる感じが楽しかったです。伊藤快成くん
撮影期間中は、男木島の民宿にみんなで泊まっていました。ご飯は、どこかへ食べに行ったり、漁師のおじさんが獲ったタコを食べたりしてましたけど、ほとんどが自炊でした。男木島にはスーパーがなかったので、買い物が一番大変でした。船で高松まで行って、20人分の食材を持って帰らないといけなかったので、本当に大変でした。
香川の男木島が舞台の作品なので、どうしても喋るのは香川の方言になります。主人公を演じた俳優の品田さんは北海道出身なので、香川の方言が難しいということを言っていて、僕たちの方言を聞いてチェックしていました。方言のイントネーションの違いなどは役者をやる上でみんな通る道だと思うので、やっぱり難しいんだなと感じました。僕も愛媛県出身で、香川に来た時は「えらい」という言葉の意味がよく分かっていませんでした。友達に「今日のバイトえらかったよな」と言われて、「しんどい」という意味ではなく「偉い」だと思っていたので何を言っているんだろうと思ったことがあります。東京とかの大学に行くとみんな標準語で喋ろうとしますけど、四国学院大学だと友達や周りの人は方言のまま喋っていて、それが耳に残ってイメージしやすいので、有り難い環境だなと思いました。

●映像と舞台の違いはどういうところで感じましたか。
――演劇コースで舞台をしていて、映像作品に参加して思ったのが、やっぱり同じ演技でも求められている演技の仕方が違うなと感じました。舞台はひとつの流れの中で気持ちも盛り上がっていくんですけど、映像は「アクション!」とカチンコを鳴らされたらすぐにパッとその役に切り替わらないといけません。それがなかなか新鮮で、慣れるまでに時間がかかりました。
撮影中は、とにかく噛まないように気をつけました。喋っていて、何を言っているのか分からないというのが一番映像作品としては問題があると思うので、できるだけ聞こえやすいようにとか、カメラの位置によってどういう風に映してほしいというのもあるので、その要望に沿った映り方ができるように、ということにも気をつけました。普段の舞台ではカメラはないので、そっちに意識がいってしまうこともありました。
四国学院大学では、僕ら学生がする舞台以外にもいっぱい舞台をしています。こんなに頻度が高くて学生が500円くらいで舞台を観る機会なんて、なかなかありません。色んな舞台を観ることで、知識や自分にないものを得られるし、自分で舞台をしてみて映像とは声の出し方も違うなという発見もありました。やっぱり映像だけじゃなくて舞台もしてみることで、その違いとかがよく分かってきて、違いが分かるからこそメリハリがつけられるようになりました。舞台の時はとにかくお客さんに届くように通る声を意識するんですけど、映像は小声で喋ってもマイクが拾ってくれるので、自分が出したい声の感じとか、やりたい演技を意識します。舞台のプロの方はそういう演技についても意識していると思うんですけど、まだ僕はそういう技術が身についていないので、映像で演技だけに集中できたのは有り難かったです。
伊藤快成くん
●新しい発見や学びはありましたか。
――友人役ということもあり、品田誠さんとは、撮影の間ずっと一緒でした。初対面の人とは思えないくらい仲良くさせていただきました。旅行の話をしている時に、違う文化や方言、外国にしても、「新しいものに触れることで自分になかったことが見つけられる」という話を聞きました。他にも、オーディションが大変だったとか、自分で作品を創ったりしている方なので実際東京でやってみてどうだったかとか、CMにも出演されている人なのでCM撮る時はまた映画とは感じが違うとか、有り難い話をたくさん聞けました。
映像に興味があって、出てみたいとか、撮影の現場はどんな感じなんだろう、とか前はけっこう思っていました。実際に参加してみて、カチンコに触ってみたり、カメラで撮る時はどういうところを意識するんだろうとか、現場に触れてみて、生で得られる情報は自分のイメージとか聞く話とかと全然違っていて、百聞は一見にしかずだなと思いました。とにかく得られる新鮮なものが多かったです。地方映画ではあるんですけど、色々な現場で活躍しているカメラマンさんや照明さんが集まっているので、他の現場での話も聞くことができて、知識として知っていたものがリアリティを増したというのが一番大きいです。ハリウッドで撮影していたカメラマンさんがいて、ハリウッドでの話を聞けたことも面白かったです。

●今回の『Lemon&Letter』出演を通して、自分自身で成長できたと思う部分はありますか。
――僕が演じた中村裕也は、けっこう僕の性格とは違う役だったんですけど、この役をやってみて、自分の性格とは違うけどこれもこれで僕の新たな一面なのかな、というのは発見でした。抜けてるというか、勘のいいキャラクターではなくて、「え、それ言っていいの?」というような台詞を言ったりするんですけど、逆に気付かないふりをしてこういう言い方をするのもアリなのかなと思いました。僕はわりとせっかちな方なんですけど、このキャラクターはのんびりしていて、のんびりのキャラ作りとかもしてたので、こういう考え方とかこういう暮らし方とかも悪くないなと思って、前よりものんびりできるようになったと思います。

●演劇コースで学んでいることは今回の出演にどう活かされたと思いますか。
――やっぱり、演技の感じは違うんですけど、違う役をするとか、相手に合わせて会話を進めていくとか、そういうところは舞台と通じるものがあります。演劇コースで演技をちょっと学んでおいたから「ここではこういう演技なのかな?」と引き出しが増えたかなと思います。照明は映像の方でも使っていて、舞台の方で照明について勉強していたので、照明をお手伝いさせていただく時にその知識が役に立ちました。役をしていない時は、照明とか、レフ版とかを持って、できることは全部していました。

●これからの将来に今回の経験をどう活かしていきたいですか。
――今回、映像作品に関われたことで、映像作品について全部分かった訳ではないんですけど、こういう風に撮るんだとか経験できたことが一番大きいです。脚本をやってみたり、カメラをやってみると、役者とは違う視点で作品を観ることができるので、演技者としての表現の幅も広がるとは思うんですけど、まだ半人前なのでまずは演技力を磨いていきたいと思います。
これから、2年生だけで作品を創ってみたいという話をしています。卒業するまでに外部での活動や映像作品にもできるだけ関われたらな、と思っています。

●今後、外部での活動や映像作品への出演を考えている後輩へアドバイスやメッセージがあればお願いします。
――とりあえず、オーディションにしろ、声がかかっているにしろ、一回やってみたらいいと思います。やってみて損をすることはないと思います。映像だと普段自分がいるところとは別の場所なので、新鮮なことばっかりだと思います。演劇もそうですけど、なかなか人前で演技をするというのは最初抵抗があると思うんですけど、その抵抗がありつつ自分の出したい役を出した時の爽快感があるから役者をやっているという人は多いと思います。映像にしろ、舞台にしろ、楽しいというだけで続けている人はなかなかいないと思います。それこそ稽古が大変だったり、自分が求められている演技ができなかったりして、辛いと思うこともけっこうあるんですけど、舞台とかで人前やって拍手とかを浴びてそういう辛さとかが全部チャラになって認められる瞬間があって、やっぱりその瞬間に取り付かれてやってるんじゃないかなと思います。辛さとか楽しさとか全部含めて、演劇、映像は面白いというところまで見てもらえたら、もっと演じることに興味をもってもらえるんじゃないかなと思います。
伊藤快成くん
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さぬき映画祭2017
*映画『Lemon&Letter』Facebookページ
<あらすじ>
男木島出身のカメラマンを父に持つ主人公の(海斗・少年)~病気を患う母の希望もあり、祖父が漁師をする島に家族3人で帰ってくる~海斗少年が、小学5年の夏、東京から島にある親子が移住してくる。海斗と同じ学年の女の子(夕)~少年・少女の成長とともに繰り広げられる。島で暮らす家族と、海斗と夕の初恋成長物語を描いた映画作品。

本学の非常勤講師梅木佳子さんが企画・脚本・監督を、演劇コース3年氏原恭子さん、演劇コース2年伊藤快成くんが出演しています。